Excelに新機能「Custom Data Types」登場。セルをキーにしてさまざまな情報を参照。ユーザー独自の定義も可能に
マイクロソフトはExcelの新機能として従来の「Data Types」を拡張した、「Custom Data Types」の導入を明らかにしました。
Custom Data Typesは、いわばあるセルに入っている情報をキーにして情報を参照する機能を実現するもの。
参照先としてPower BIやPower Queryで接続されたサーバなどを設定できるため、顧客名の入ったセルをキーにすると、顧客の連絡先や住所、現時点での売り上げ、社内の担当営業といった情報をマウス操作だけで参照できるようになります。
Introducing custom data types using your own business data through Power BI and Power Query data types in Microsoft Excel. Learn more: https://t.co/5lTIBSIZ0W pic.twitter.com/IvebGDOMCZ
— Microsoft 365 (@Microsoft365) October 29, 2020
一般的なプログラミングの知識を前提にすると、Data Types(データ型)とは文字列や数値、ブーリアンなど変数が持つ種類のことだと考えられています。
Excelのセルをプログラミングにおける変数だと見なせば、セルにも「文字列」と「数値」、そして「数式」を入力することができるため、これをExcelが備えるおおまかなData Typesだと考えることができるでしょう。
しかし今回Excelの新機能として導入された「Custom Data Types」は、こうした従来の考え方におけるデータ型とは少し見え方が異なります。
どちらかと言えば、セルに入っている値をキーとしたクエリの種類(=タイプ)を設定するもの、と説明した方が近いのではないかと思います。
Custom Data Typesの前に、Data Typesとはどんな機能か?
新機能のCusotm Data Typesを説明する前に、Excelに最近導入された「Data Types」の機能をまず見ておきましょう。
すでにMicrosoft 365ユーザーであれば現時点でExcelにData Typesの機能が含まれているはずです。ここではData Typeの「株式型」を使ってみます。
Excelの「データ」タブをクリックすると表れるリボンメニューに、「株式」「地理」のアイコンが表示されています。任意のセルに「Apple」と入力し、選択したまま「株式」のアイコンをクリックしてみます。
するとそのセルの内容がApple社の株式情報を示すデータ型(Data Type)に変わりました。セルには株式アイコンが表示され、セル内の文字列は「APPLE INC.(XNAS:AAPL)」となりました。
セルの右上のアイコンをクリックすると、Apple社のどの情報を参照したいのか選択肢が表示されます。株価の52週最高値(52 week hight)や最安値(52 week low)などが並んでいますが、ここでは「Employees」(従業員)を選んでみましょう。
隣のセルにApple社の従業員数「147,000」が入力されました。この情報はBingから取得されたもののようです。
このようにData Typesとは、あるセルの内容をキーに動的に関連情報を得られる機能だといえるでしょう。
ちなみに現在「株価」と「地理」のData Typesが利用可能になっており、セルに「Tokyo」と入れて「地理」アイコンをクリックすると、東京のさまざまな情報を参照可能です。
顧客情報をExcelシートから参照
今回発表された新機能「Custom Data Types」は、このCustom Typesを2つの面で拡張したものです。
1つは参照情報をカード型表示にしたこと。下記はマイクロソフトが公開したCustom Data Typesのデモ動画からのキャプチャです。
「Element」(元素)データ型の「hydrogen」(水素)をクリックすると、その右側に水素の存在を初めて示したヘンリー・キャヴェンディッシュ氏の説明やそのほかの水素の説明がカード型表示の中に並んで示されています。
これでいちいちセルに情報を展開しなくても、セルの関連情報を素早く参照できるようになるわけです。
もう1つの機能拡張は、このCustom Data Typesをユーザーが定義可能になる、ということです。
例えばユーザーが独自に「Customer」(顧客)型を定義することで、顧客名をセルに入力して顧客型に設定すると、Excelシート上でその顧客の営業担当者、住所、連絡先、現時点での売り上げ状況などの関連情報をすぐに参照、セルに入力することができるようになります。
あるいは製品番号をセルに入力すると、対応する製品情報や画像がすぐに取得できる、といった用途にも使えるでしょう。
データソースとしてはPower BIやPower Queryを用いることができるため、社内のデータベースやデータウェアハウス、ファイルなどが利用可能。
参照は動的に行われるため、顧客型で表示された売り上げ状況はExcelシートの更新ボタン(リボンメニューの中にある)を押す、もしくは新しく開くたびに最新の情報に更新されるわけです。
新機能Custom Data Typesは、Excelをより自然な形でデータベースやデータウェアハウスのフロントエンドとして活用する可能性をもたらすものになるのかもしれません。
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