Dockershimを非推奨とした「Kubernetes 1.20」が正式リリース。Graceful node Shutdown機能がアルファ版で登場など
オープンソースとして開発されているコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」の最新版「Kubernetes 1.20」正式版がリリースされました。
We just released #Kubernetes 1.20, our third and final release of 2020!
— Kubernetes (@kubernetesio) December 9, 2020
This release consists of 42 enhancements: 11 enhancements have graduated to stable, 15 enhancements are moving to beta, and 16 enhancements are entering alpha. https://t.co/QqjVKZkLQ0 pic.twitter.com/RHJlv4lAPa
Kubernetes 1.20では、先行して公開されたリリースノートでDockerが非推奨(Deprication)とされたことが大きな話題となっていました。これは正確にはKubernetes上でDockerをコンテナランタイムとしてサポートするためのブリッジの役割をしている「Dockershim」が非推奨になることと記されています。
Kubernetesはコンテナランタイムとのインターフェイスに「CRI」というAPIを用いています。DockerはCRIをサポートしていないため、CRIをDockerが対応するAPIに変換しているのがDockershimの役割です。
Dockershimが非推奨になれば、自動的にその先で動いているDockerも非推奨になる、ということになります。
今後Kubernetes上のコンテナランタイムはCRIに対応したもののみが使われるようになります。CRIに対応したコンテナランタイムは、例えばcontainerdやcri-oなどがあります。
このあたりの説明は下記のリンク先などをあわせてご覧ください。1本目の記事はCNCFオフィシャルアンバサダーのinductor氏によるもの。2本目はPaaS勉強会を主催するJacopen氏の解説です。
Dockershimの非推奨化により、これからは目的や用途別にさまざまな実装がKubernetesのコンテナランタイムに選択され使われていく状況が促進されるのではないかと思われます。
主なアップデートや新機能
Kubernetes 1.20における主なアップデートや新機能を紹介しましょう。
Volume Snapshot Operationsが安定版に
さまざまなKubernetes環境上でVolume Snapshotを行う操作の標準化とストレージプロバイダのサポートが安定版に。
Kubectl Debugがベータ版に
コンテナイメージ起動時の障害などのトラブルシューティングを行えるKubectl Debugコマンドがベータ版に。
API Priority and Fairnessがベータ版に
APIに対するオーバーロードが発生した場合などの振る舞いを設定するAPI Priority and Fairnessがベータ版に。
IPV4/IPV6アルファ版がアップデート
IPv6/IPv6デュアルスタックの実装がユーザーなどのフィードバックに基づいて再実装されました。
Graceful node shutdownがアルファ版に
ノードが適切なプロセスを経てシャットダウンされるGraceful node shutdown機能がアルファ版として登場しました。
リリースロゴは猫のハンフリー
Kubernetes 1.20のリリースロゴには、リリースリードの飼い猫であるハンフリーが登場。
そしてこのコロナ禍のなかでも多くのアップデートや新機能を実現できたことから、このリリースは「素晴らしい」や「クール」な意味のスラングである「Rad」の最上級を用いた「The Raddest Release」の名前が与えられています。
あわせて読みたい
AWS、Macインスタンスの仕組みを説明。市販のMac miniをそのままラックに組み込みThunderbolt経由でストレージやネットワークへ接続。AWS re:Invent 2020
≪前の記事
Oracle Database 21c正式版が登場。データベース内でJavaScript実行可能、改ざんできないブロックチェーンテーブルなど新機能