サーバとストレージを分離したハイパーコンバージドインフラの新分野「Disaggregated HCI」、HPEが「Nimble Storage dHCI」発表

2020年1月27日

仮想化が企業の情報システムにおいて基本的な機能として用いられるようになったことで、この仮想化の機能を最初から組み込んだ統合システムが以前から注目を集めています。

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仮想化のための統合システムは、VMware、シスコ、EMCの3社が合弁で設立したVCEによる「Vblock System」が初期の代表的な製品として2010年頃に登場しました。

この統合システムは一般に「コンバージドインフラ」(CI:Converged Infrastructure)と呼ばれ、複数台のサーバとストレージアレイ、ネットワーク、仮想化ソフトウェアが統合され、導入後すぐに仮想化を用いたシステムの運用が開始できる、などの利点があります。

そして2015年頃からは、このコンバージドインフラのストレージアレイの代わりにネットワークで接続した複数のサーバに内蔵されたストレージをストレージ仮想化ソフトウェアによって束ねることで仮想的なストレージアレイとすることで、よりシンプルでコンパクトなハードウェア構成と、サーバを増やせば容易にコンピュートやストレージの能力を拡大できるスケールアウトな拡張性を備えた「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI:Hyper Converged Infrastructure)が注目されるようになってきます。

fig2 Nutanixのアプライアンス製品

Nutanixの製品群がその代表例としてハイパーコンバージドインフラの市場をけん引し、DellEMCやシスコ、HPEに買収されたSimplivityなど、さまざまなベンダの製品が市場に登場しています。

そしてこのハイパーコンバージドインフラの普及を背景にして、昨年ごろから新たな分野の統合システムとして注目を集めつつあるのが、「ディスアグリゲーテッド ハイパーコンバージドインフラ」(Disaggregated HCI)です。

Disaggregatedとは、Aggregated(集合)の逆、凝集が解かれた状態や分離された状態を指します。つまり集合が解かれたハイパーコンバージドインフラ、ということです。

Disaggregated HCIでサーバとストレージが再び分離

ハイパーコンバージドインフラは、ストレージを内蔵したサーバをネットワークで接続するというシンプルなハードウェア構成が特徴です。

これはつまり、サーバをネットワークに追加していくだけでコンピュートの能力とストレージの容量が増強されていくという、シンプルで分かりやすいスケールアウトな拡張性を備えていることを意味しています。

しかしコンピュートとストレージの能力がペアで増えていくというこの拡張性は、一方でストレージ容量だけを増大させるためにサーバを追加していくと不必要にコンピュート能力も増大して無駄が生じることになります。コンピュートとストレージの能力を独立して拡張させにくいというのがハイパーコンバージドの欠点なのです。

Disaggregated HCIは、このハイパーコンバージドインフラの欠点の解決を試みた統合システムです。

ハイパーコンバージドインフラではサーバとストレージは1つの筐体内に収まっていましたが、Disaggregated HCIでは再び分離。コンピュートノードとしてのサーバと、ストレージのノードはそれぞれ独立して増やすことができ、スケールアウト可能になります。

サーバとストレージが分離したことで、ハイパーコンバージドインフラでは不要だったサーバとストレージ間の高速な接続が必要になるなど、システム構成はやや複雑になりますが、コンピュートとストレージを必要な能力に応じて増減できるようになるという柔軟性と、それによるコストの最適化を実現できる点などがDisaggregated HCIの特徴といえるでしょう。

ところで、Disaggregated HCIはサーバとストレージが分離していることから、そもそもサーバとストレージを一体として構成された「ハイパーコンバージドインフラ」の名称を用いるのが適切なのか? という議論があります。しかし米調査会社のIDCはDisaggregated HCIをハイパーコンバージドインフラのバリエーションのひとつとみなしており、NetAppの「NetApp HCI」を代表的な製品として紹介しています。

HPEが新製品「Nimble Storage dHCI」国内発表

そのDisaggregated HCIの分野で、HPEが新製品「Nimble Storage dHCI」を国内発表しました。

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Nimble Storage dHCIは、コンピュートとしてHPE ProLiantサーバを、ストレージとしてHPE Nimble Storageを使用。これにVMware vSphereとvCenterのプラグインなどとして実装された専用の管理ソフトウェア、同社の運用管理支援サービスである「InfoSight for dHCI」を統合したもの。

HPE ProLiantサーバを追加していけばコンピュートの能力を拡大可能。またNimble Storageはもともとスケールアウトによる容量拡大が可能なストレージです。そのためコンピュートとストレージは独立して性能向上などが可能。セットアップもほぼ自動化され、ストレージの追加なども自動的に認識します。

「InfoSight for dHCI」ではクラウドベースの機械学習を用いたサービスで、パフォーマンスとリソースの最適化、予測分析に基づく問題の事前防止、サポートの自動化などを実現しています。

Nimble Storage dHCIの価格は最小構成で1360万円から。

同社はすでにハイパーコンバージドインフラとしてSimplivityを提供しています。SimplivityとNimble Storage dHCIはどのようにすみ分けるのでしょうか。

同社ストレージ製品本部 製品部 エバンジェリストの山中伸吾氏は「dHCIとSimplivityのどちらかを選ぶのではなく、組み合わせて売るものと考えている」とし、すみ分けではなく適所に利用することで共存可能だと説明しています。

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