クラウドの空きキャパシティを安く使える「Azure Spot Virtual Machines」が正式版に
マイクロソフトは、クラウドで余っている空きキャパシティを安価に提供する「Azure Spot Virtual Machines」を正式サービスとしたことを発表しました。
Announcing the general availability of Azure Spot Virtual Machines, enabling you to deploy a broad variety of workloads on #Azure while enjoying access to discounted pricing. Learn more: https://t.co/tvQ61PScis pic.twitter.com/Ap5Vt4EW4O
— Microsoft Azure (@Azure) May 13, 2020
クラウドの余剰キャパシティを安価に提供するサービスは、AWSでは「Spot Instances」と呼ばれています。今回発表された「Azure Spot Virtual Machines」はほぼそれと同等のサービスと言っていいでしょう。
Microsoft Azureでは以前、主にバッチ処理向けにプレビュー公開されていた「低優先度 Virtual Machines」というサービスがありました。これも基本的にはクラウドの余剰キャパシティを安価に利用できるサービスでしたが、それはこの「Azure Spot Virtual Machines」に置き換えられることになります。
AzureがAWSに名前も機能も寄せてきた感じがしますが、利用者にとっては分かりやすくなるのではないでしょうか。
クラウドにはだいたい余剰キャパシティがあるもの
クラウドを構成するデータセンターには大量のサーバが配置されています。単純にサーバの利用効率だけを考えれば、このサーバが1台残らず全部きっちりユーザーに利用されている状態が、サーバへの投資対効果がもっとも高いように思えます。
しかしもしその状態になった場合、新たにクラウドを利用しに来たユーザーに提供できるサーバが存在しないことになります。そうならないため、基本的にはクラウドはいつも次に利用しに来るユーザーのために余剰キャパシティがあることが望ましいのです。
「Azure Spot Virtual Machines」や「AWS Spot Instances」は、この余剰インスタンスを正規の価格で利用してくれるユーザーが登場するまでのあいだ、遊ばせておくのはもったいないので安価に既存ユーザーに提供する、というサービスだといえるでしょう。
そのため、正規の価格で利用するユーザーが現れた時点で、Azure Spot Virtual Machinesは利用が中断され、余剰キャパシティへと戻り、正規ユーザーへと割り当てられることになります。
こうした特性を理解しつつ利用する分には、Azure Spot Virtual Machinesは非常にコストパフォーマンスの高いサービスです。マイクロソフトは次のような用途に適していると説明しています。
- 開発やテスト
- 中断されても持続可能、もしくは回復可能なワークロード
- バッチ処理
- ステートレスでスケールアウトする アプリケーション
- 仮想マシンが削除された場合でも、簡単に再実行できる短時間のジョブ
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