WindowsにLinuxカーネルを組み込んだ「WSL 2」、はやくもWindows 10 Insiderプレビュー版で利用可能に
マイクロソフトはWindows上でLinux互換機能を提供するWindows Subsystem for Linux(WSL)の次期版となる「WSL 2」を、WIndows 10の早期アクセスプログラムであるWindows 10 Insider向けのPreviewビルド「Windows Insider Preview build 18917(20H1)」で利用可能になったことを明らかにしました。
Windows 10に専用のLinuxカーネルを組み込んで高い互換性と性能を実現
WSL 2は、Windows 10にマイクロソフトが独自に最適化したLinuxカーネルを搭載することで、Windows 10上にLinux互換の環境を実現します。
現在Windows 10で提供されている「WSL」は、LinuxシステムコールをWindowsカーネルのシステムコールに変換することでLinux互換環境を実現する仕組みを備えています。しかしこの方法ではLinuxシステムコールとの高度な互換性や高速性を実現することが難しかったため、次期バージョンの「WSL 2」ではLinuxカーネルをまるごとWindows 10内のWSLに組み込む仕組みが採用されました。
WSL 2に組み込まれているLinuxカーネルは、WSL 2用に最適化された専用のLinuxカーネルで、これをHyper-Vをベースにした軽量の仮想マシン内で実行します。
これによって前述のようにフル互換のLinux環境を実現。WSLでは対応できなかったDockerやFUSE(Filesystem in Userspace)などにも対応できるようになります。
さらにWSLと比べて最大20倍ものファイルシステム性能が実現できると説明されています。また、Windows 10 Homeを含むすべてのWindows 10で利用可能になる予定です。
参考:[速報]Windows上でフル互換のLinuxシステムコールを実現する「WSL 2」発表、Dockerも実行可能に。Microsoft Build 2019
Windows 10は毎年春と秋に大規模なアップデートが行われます。今回のPreviewビルドは「Build 18917(20H1)」と称されているため、一般ユーザーへのWSL 2の提供は来年春の大規模アップデートがターゲットではないかと見られます。
WSL 2に最適化されたDocker Desktopがリリース
WSL 2の登場にあわせて、Docker社がDocker Desktop for WSL 2のリリースを発表しました。
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