マイクロソフトがVMwareクラウド基盤をAzureで提供、「Azure VMware Solutions」を正式発表。Dell Technologies World 2019
Dell Technologiesが米ラスベガスで4月29日から5月1日まで開催した「Dell Technologies World 2019」。
基調講演で同社会長兼CEOのマイケル・デル氏が壇上に呼び込んだマイクロソフトCEO サティア・ナデラ氏は、VMwareのクラウド基盤をMicrosoft Azureのベアメタル上で提供する新サービス「Azure VMware Solutions」を発表しました。
VMwareはすでにAmazon Web Services(AWS)との提携の下で、AWS上のVMwareクラウド基盤である「VMware Clound on AWS」を提供しています。
VMware on AWSだけでなく、VMwareテクノロジーによるクラウド基盤はIBM CloudやNTTのクラウドサービスなどでも提供されています。これらは基本的にクラウド基盤を構築するための同社の統合ソフトウェア「VMware Cloud Foundation」を用いて構築され、VMwareによって認証されたものです。
今回マイクロソフトが発表した「Azure VMware Solutions」も同様に、VMware Cloud Foundationを用い、VMwareによって認証されたクラウドサービスになります。
ただしVMware自身が「VMware Cloud on AWS」を提供するのに対し、Azure VMware Solutionsはマイクロソフトが販売、提供します。
また、Azure VMware Solutionsによるソリューションの構築は、あらかじめ認定されたソリューションプロバイダであるCloudSimpleもしくはVirtustreamによって行われます。そのため、現時点でのAzure VMware Solutionsは「Azure VMware Solution by CloudSimple」と「Azure VMware Solution by Virtustream」の2種類が存在します。
Azure VMware Solution by CloudSimpleはすでに米西、米東リージョンで提供が開始されており、欧州リージョンでの提供も予定されています。一方、Azure VMware Solution by Virtustreamは今年後半に提供開始の予定。今後さらに認定ソリューションプロバイダが追加されていくとのことです。
1年半前に繰り広げられていたマイクロソフトとVMwareの牽制と協力
マイクロソフトは1年半前の2017年11月に、同社が独自にAzure上にVMwareを用いて構築した新サービス「VMware virtualization on Azure」を発表し、VMware on AWSに対抗する構え見せていました。
しかしこの発表直後、VMwareはこの「VMware virtualization on Azure」についてVMwareは関わっていないし認証もサポートもしていないとあえて表明し、この新サービスでVMwareの顧客をAzureへ引き寄せようとするマイクロソフトを牽制します。
そこから1カ月後の2017年12月、両社の立場は一転。「VMware virtualization on Azure」の構築に、VMwareと同社のパートナーが協力していることが明らかになりました。
このとき、当初のVMware virtualization on AzureはVMwareからAzureへの移行サービスである位置づけが変更され、Azure上でVMwareの本番環境を実現するサービスであると位置づけられました。
今回のDell Technologies World 2019で発表されたAzure VMware Solutionsは、このVMware virtualization on Azureが名前を変え、1年半かけて実現されたものだと言えそうです。
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