プロダクトカンパニーからサービスカンパニーへ。オラクルがユーザー体験などを全社レベルで刷新、自社の変革に取り組む[PR]
サーバ、ストレージ、OSといったITインフラや、Java、アプリケーションサーバ、リレーショナルデータベースなどミドルウェア、そして多様な業種にわたる業務アプリケーションまで、オラクルはエンタープライズ市場においてITシステムのフルスタックを1社で提供できる大手企業として、独自の地位を築いています。
幅広いプロダクトポートフォリオと、Exadataに象徴される垂直統合モデルによる製品の高い性能や機能、安定性は、オラクルの大きな強みです。
しかしいま、オラクルはこの強みを大きく変えようとしています。プロダクトカンパニーから、サービスカンパニーへの変革です。
それはクラウドの時代においてもオラクルがトップベンダーでありつづけるための変革であり、ユーザー体験の全社レベルでの刷新、データセンターへの大規模な投資、オープンなクラウドサービスの提供など、取り組みは同社のあらゆる面に及んでいます。
オラクルがどう変わろうとしているのか、その主な側面を見てみましょう。
ユーザー体験を全面的に刷新する「Redwood」
サービスカンパニーへ向かうオラクルを象徴するプロジェクトが「Redwood」です。Oracle OpenWorld 2019の基調講演で、同社創業者でCTOのラリー・エリソン氏が発表しました。
Redwoodは、今後同社から登場するすべての製品やサービスにおけるUI/UXのフレームワークになります。
それだけでなく、Webサイトやプレゼンテーションスライド、さらにはOracle OpenWorldのようなイベントにおける装飾を含む、同社の全社的なユーザー体験の基盤となるもの、と説明されました。
18カ月前にオラクルに入社し、Redwoodの開発をリードしているUser Experience Design担当シニアバイスプレジデントのHillel Cooperman氏は、Redwoodが「仕事をこなすためだけのUI/UXではなく、日々わくわくして使ってもらえて、ユーザーがオラクルのアプリケーションを好きになってもらえるようなもの」の実現を目指していると説明しています。
従来は鮮やかな赤色をコーポレートカラーとしていたオラクルですが、Redwoodでは全体に彩度を抑制し、落ち着いた配色が採用されています。下記はRedwoodによってリニューアルされた日本オラクルのWebサイトです。
このように、これからオラクルから登場するさまざまなプレゼンテーション、Webサイト、UI/UXなどの総合的なユーザー体験がRedwoodをベースにしたものになります。
エリソン氏「AWSよりも多くのリージョンを展開する」
オラクルは、大規模なクラウドデータセンターへの投資も発表しました。
この投資によりOracle Cloudは、現時点でグローバルに16のリージョン展開から、来年中に2倍以上の36リージョン展開になります。ラリー・エリソン氏は「われわれはAWSよりも多くのリージョンを展開することになる」と胸を張ります。
日本国内でも年内にOracle Cloudの大阪リージョンの開設が予定されており、国内でのディザスタリカバリー環境が実現します。
同社によると、一国内でディザスタリカバリー構成が実現できる国数も、今回のグローバル展開によってトップレベルの数になるとのこと。
クラウドはオープン戦略を展開
オラクルが展開しているデータセンターは、同社が「Gen 2 Cloud」(第二世代クラウド)と呼ぶ堅牢なセキュリティと高い性能を実現するものです。
参考:オラクルの第二世代クラウドは「突破困難な防壁」と「自律型ロボット」の2つによって守られている。Oracle OpenWorld 2018
そしてオラクルはこのGen 2 Cloudを基盤に、自社の製品やサービスのフルスタックにこだわらない、オープンなクラウドサービスを構築する姿勢を見せています。
例えば、Oracle Cloudにおいてオンプレミスとパブリッククラウドを連携するハイブリッドクラウドソリューションとして発表されたのは、VMwareとの提携でした。
Oracle Cloud上でVMware環境を提供する「Oracle Cloud VMware Solution」によって、オンプレミスとVMware環境とOracle Cloudをシームレスに接続できるわけです。
さらに、マイクロソフトとはクラウドの相互接続で合意。Microsoft AzureとOracle Cloudという2つのクラウドをユーザーはシングルサインオンで利用できるだけでなく、高速接続されたネットワークに通じてクラウドサービスをシームレスに呼び出せます。
つまりMicrosoft Azure上のアプリケーションからOacle Cloudのデータベースを呼び出す、といったことが可能になります。
参考:[速報]マイクロソフトとオラクル、クラウドの相互接続で合意。クロスクラウドのシングルサインオン、AzureからOracle Cloud Databaseへの接続などが可能に
NetSuiteもアーキテクチャから再構築、Gen 2 Cloudへ移行
ERPやCRM、HCMなど多数の業務アプリケーションをクラウドサービスとして提供するOracle Fusion Cloud Applicationsや、同社が2016年に買収したクラウドERP大手 NetSuiteなど、同社はSaaSにも注力してきました。
Fusion Cloud Applicationsは、最初からクラウド対応の業務アプリケーションとして開発されたもの。当初は専用クラウド基盤のうえで稼働していましたが、オラクルはこれをGen 2 Cloudへ移行しています。
さらにNetSuiteはもともとアプリケーションレベルで顧客データを分離するマルチテナントアーキテクチャを採用していましたが、買収後にこれを変更。顧客ごとにデータベースを分離するアーキテクチャに再構築し、あわせてGen 2 Cloud上へ移行しています。「これは大仕事だった(It's big deal!)」(エリソン氏)
これらの施策により、同社は一貫してGen 2 Cloudを基盤とし、SaaSのカスタマイズや拡張をOracle CloudのIaaS、PaaSを用いて顧客に構築してもらう環境を実現しました。
さらに、データベース自身が自律的にセキュリティ対応やチューニングを行うAutonomous Databaseも、同社のクラウドサービスにおいて強力な差別化要因になっている、エリソン氏は指摘しています。
「われわれには何千何万というERPカスタマーがいて、それぞれの顧客のデータベースの状態は、小さいものから巨大なものまでさまざまだ。そして、Autonomous Databaseはそれぞれのインスタンスごとに最適なチューニングを行うことができる。これを人手でやることなど全く笑いごとといえるが、自動化されたマシンなら可能なのだ」(エリソン氏)
ミッションステートメントも刷新、新たな指針に
そしてオラクルは、企業のミッションステートメントも刷新しました。オラクルがサービスカンパニーへ向かううえで、このミッションステートメントが新たな指針となるのです。
オラクルのサービスカンパニーとしての取り組みが成功するかどうか。それは、そのサービスを利用するデベロッパーやカスタマーによってこれから判断されることになります。
(本記事は日本オラクル提供のタイアップ記事です)
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