Google、VMwareソリューションベンダの「CloudSimple」買収。Google CloudのVMware環境を本格化へ

2019年11月20日

Googleは、クラウド上でVMwareソリューションを提供するベンダである「CloudSimple」の買収を発表しました(Googleの発表CloudSimple CEOのブログ)。

CloudSimpleは、Microsoft Azure上でVMware環境を提供する「Azure VMware Solution by CloudSimple」と、Google Cloud上でVMware環境を提供する「Google Cloud VMware Solution」をマネージドサービスとして提供しているベンダです。

AWS上でVMware環境を提供している「VMware Cloud on AWS」は、AWSのベアメタルサーバ上にVMware自身がVMware Cloud環境を構築し、VMwareが提供しています。

一方、AzureやGoogle Cloud上のVMware環境である「Azure VMware Solutions」「Google Cloud VMware Solution」はいずれもVMwareが直接手がけているのではなく、サードパーティであるCloudSimpleがそれぞれのクラウドのベアメタルサーバ上にVMware環境を構築、マネージドサービスとして提供しています(AzureではVirustreamも同様のサービスを「Azure VMware Solution by Virtustream」として提供しています)。

つまりCloudSimpleは、AzureとGoogle CloudにとってVMware環境を提供するためのキープレイヤーなのです。

そしてクラウドにおけるVMware環境の提供とはすなわち、オンプレミスからクラウドへの移行を促すうえで非常に重要なサービスであることは間違いありません。

マイクロソフトがWindows Serverというオンプレミスにおいて大きな存在感のあるOSを持ち、これを足がかりにハイブリッドクラウドの実現を提案できるのに対して、オンプレミスにおいて大きな存在感を持たないGoogleにとって、ハイブリッドクラウドのソリューションを充実させるうえでCloudSimpleの買収は理にかなっているといえそうです。

Googleはこの買収によって、Google CloudにおけるVMware環境を本格化させ、エンタープライズ市場におけるハイブリッドクラウド戦略をさらに推し進めることでしょう。

と同時に、3年以上も前にVMwareとの協業によってVMware Cloud on AWSを発表し、自社だけでは実現できないハイブリッドクラウドソリューションをVMwareとともに競合他社に何年も先駆けて充実させてきているAWSの戦略の上手さ(おそらく純正VMware CloudはAWSでのみ展開する、といった約束をしているのでしょう)と先進性を、この買収はあらためて際立たせているようにも見えます。

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