「ストレージクラスメモリ」がついに実用化。DRAMと同じDDR4スロットに挿せる不揮発性メモリ「Intel Optane DCパーシステントメモリ」と新Xeonプロセッサ、一般販売開始
ストレージの世界では、不揮発性メモリによって構成されたフラッシュストレージの登場によって技術的にも市場的にも大きな変革が起こりました。かつて主流だったハードディスクドライブを基盤とした技術や製品は、すでに時代遅れなものになりつつあります。
それと同じような大きな変化が、今度はメモリの分野で起きようとしています。不揮発性メモリを大容量メインメモリに用いる、いわゆる「ストレージクラスメモリ」の実現です。
米インテルは4月2日、イベント「Data-Centric Innovation Day」を開催。DRAMと同じDDR4スロットにさせる不揮発性メモリ「Intel Optane DCパーシステント・メモリ」と、これに対応した新しいXeonプロセッサ「第二世代インテル Xeon スケーラブル・プロセッサー」の一般販売を開始したことを発表しました。
Intel Optane DCパーシステント・メモリは、インテルとマイクロンが開発した不揮発性メモリ「3D XPoint」(スリーディークロスポイント)が使われています。
3DXPointは、DRAMとは異なり電源が失われても保持しているデータが消えない不揮発性メモリであること、しかもDRAMよりもアクセス速度はやや遅いながらもNAND型フラッシュメモリよりも大幅に高速である、といった技術的特徴を備えています。
Intel Optane DCパーシステント・メモリは、ストレージよりもさらにCPUに近いメモリバスに、NANDフラッシュよりも高速な不揮発性メモリを接続することになるため、フラッシュストレージよりも圧倒的に高速に読み書きでき、しかもストレージのように書き込んだデータは電源が落ちても消えない(=不揮発)という、メモリとストレージのいいとこ取りをした記憶媒体、すなわち「ストレージクラスメモリ」が実現できます。
これまでストレージにデータやログを書き込んでいたデータベースソフトウェアなどは、Intel Optane DCパーシステント・メモリを用いることで劇的な高速化とインメモリデータベースの大容量化が可能になるのです。
インテルの発表によると、Redisにおいてミリ秒以下の応答速度を維持しつつ、従来より8倍も多く仮想インスタンスを起動でき、インメモリデータベースのSAP HANAは91億行のデータベースを扱えるようになったとしています。
しかも3DXPointは、DRAMと比べて容量あたりの価格が安くなると見られるため、DRAMとIntel Optane DCパーシステント・メモリをうまく組み合わせることで、これまでより安価で大容量のメモリを持つシステムを構築できることが期待されています。
「システムにかかるコストの60%がDRAMに費やされていると言われているが、Intel Optane DCパーシステント・メモリはこれを大きく変える」(インテル データセンターグループ エグゼクティブバイスプレジデント&ゼネラルマネージャ Navin Shenoy氏)
メモリバスに接続されたIntel Optane DCパーシステント・メモリを適切に扱うには、メモリを操作するプロセッサ側にも専用の機能が必要となります。今回同時に発表された2nd-Generation Intel Xeon Scalable processorは、そのための機能を備えたプロセッサとなります。
プロセッサ単体での高速化が頭打ちとなっている現在、ストレージクラスメモリはこれからのシステム性能を向上させていくうえで非常に重要な役割を担うことになります。
インテルによるIntel Optane DCパーシステント・メモリの一般販売開始は、それが実現される新しい時代が始まったことを示すことになるはずです。
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