Docker社、今後はDocker Desktopなどデベロッパー向けツールに注力。エンタープライズ向け製品群はMirantisへ売却と発表

Docker社は、今後Decker DesktopとDocker Hubを中心にデベロッパー向けツールに注力し、エンタープライズ向けに展開していたDocker Enterprise製品群をMirantis社へ売却したと発表しました。

#Docker’s Next Chapter: Advancing #Developer Workflows for Modern Apps https://t.co/nwGEQv8XdD pic.twitter.com/DX0AS7dInf

— Docker (@Docker) November 13, 2019

Mirantisに売却されたDocker Enterprise製品群は、Dockerコンテナエンジンをベースに、オーケストレーションツールとしてKubernetesとSwarm、コンテナレジストリとしてDocker Registryやコンテナ対応のネットワーク機能、ストレージ機能、そして全体をカバーするセキュリティ機能などを統合した製品です。

LinuxやWindows Serverやさまざまなクラウドに対応するため、企業はこれを利用することでマルチクラウド、ハイブリッドクラウド対応のDockerコンテナによるクラスタ環境を構築できます。

しかしこうしたソリューションはGoogleのAnthos、マイクロソフトのAzure Arc、Pivotal/VMwareのKubernetesをベースにしたソリューションなど、さまざまな競合に直面していました。

Docker社は、エンタープライズ市場においてこうした強力な競合と戦い続けるのは難しいと判断し、今回のエンタープライズ向け製品群の売却に踏み切ったものと考えられます。

エンタープライズ製品群の売却先であるMirantisは、もともとOpenStack専門のシステムインテグレーター、すなわちクラウドインフラ構築にフォーカスしたベンダとして登場しました。

同社は今回のDocker Enterprise製品群の買収により、インフラレイヤに加えてこれまでより積極的にコンテナレイヤでのビジネスを展開することを目論んでいるのでしょう。

Docker社は今後、WindowsやMac、LinuxのデスクトップPCやノートPC上にDocker環境を構築するDocker Desktopや、DockerイメージのリポジトリであるDocker Hubを中心に、デベロッパー向けのツールとビジネスにフォーカスすることを明らかにしています。

この発表と同時にDocker社の次期CEOに指名されたScott Johnston氏は、Docker DesktopやDocker Hubの拡張について次のようにコメントしています。

Going forward, in partnership with the community and ecosystem, we will expand Docker Desktop and Docker Hub’s roles in the developer workflow for modern apps. Specifically, we are investing in expanding our cloud services to enable developers to quickly discover technologies for use when building applications, to easily share these apps with teammates and the community, and to run apps frictionlessly on any Kubernetes endpoint, whether locally or in the cloud. It’s an honor to lead Docker in this next phase of its journey.

今後はコミュニティやエコシステムと連携し、Docker DesktopとDocker Hubの役割を、モダンなアプリケーション開発者のためのワークフローのなかで拡大していきます。具体的には、クラウドサービスの拡大に投資し、開発者がアプリケーションを構築する際に用いられるテクノロジーをすばやく見つけ、アプリをチームメンバーやコミュニティと簡単に共有し、Kubernetesのエンドポイントでローカルでもクラウドでも、どこででもアプリをスムーズに実行できるようにします。

Docker社は、Dockerコンテナを発火点としたコンテナ市場の爆発的な拡大を背景に、第二のVMwareになることを目指してエンタープライズ市場へと製品群を広げてきました。しかし残念ながらそのビジョンは、ここでいったん畳むことになります。

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