2023年になっても日本企業の基幹系システムの80%はオンプレミスで商用RDBを使い続ける。臨機応変なデータ分析ツールはExcelであり続ける。ガートナーの予想

2019年2月26日

ガートナー ジャパン株式会社 は、今後3~5年間で企業の顧客戦略に大きな影響をもたらす動向に注目した、アプリケーション領域における2019年の展望を発表しました。

発表にはいくつかの項目が含まれています。その中から3つの予測をピックアップしました。

■2023年を迎えてもなお、日本の大企業における基幹系システムの80%が商用のリレーショナル・データベース管理システム (RDBMS) を使い、オンプレミスで運用し続ける

ガートナーが日本企業に行った調査によると、ERPとその中でも汎用化しやすい業務を除いた基幹系システムににおいてはクラウドの採用が進んでいないことが明らかになっています。同様のことが、基幹系システムに利用されるRDBMSにも当てはまるとのことです。

商用リレーショナルデータベースのライセンスや保守にかかる費用が高額なため、オープンソースのリレーショナルデータベースへ切り替えたいと考える企業は多いものの、移行にかかる費用や障害発生時の対応に関するリスクを考えると実施できない、という企業が圧倒的多数を占めているため、2023年になっても基幹系システムの80%は商用リレーショナルデータベースのままと予想されています。

■2022年末まで、臨機応変なデータ分析を行う上で最も利用される分析ツールはExcelであり続ける

日々の業務で必ず確認すべきデータは、IT部門が設定したBIツールによるレポートやダッシュボードを利用するというアプローチが取られています。

一方、そうした業務要件から外れた切り口でデータを確認し分析するには、データを抽出し、Excelで加工する必要があります。ただしExcelを利用したデータ分析は手軽に始められる一方で、多くの労力を要する、ミスが発生した場合の発見が難しいなど、さまざまな弊害も及ぼします。

テクノロジーの進歩によってこれらの問題が今後4年程度で解消されることはなく、Excelを利用したビジネスユーザーによるデータ分析を今のまま放置すると、適正なビジネス推進が阻害される恐れがあるとガートナー ジャパンは警告しています。

■2022年までに、大企業の80%が革新レイヤのアプリケーション開発にアジャイル型開発を採用する。しかし差別化・記録レイヤのアプリケーションにまでアジャイル型開発を採用し、定着させる大企業は10%に満たない

ガートナーの調査によると、日本国内の従業員数2000人以上の大企業では、アジャイル型開発を「採用中」または「採用予定あり」と答えた割合が70%近くに達しました。

ガートナーは企業の情報システムを、業務システムとしてビジネスを支える「記録レイヤ」と、他社との差別化を実現する「差別化レイヤ」、そして新しいアイデアを実装する「革新レイヤ」の3つに分類しています。

多くの大企業が、革新レイヤにあたるデジタルビジネスの文脈で新しいサービスを創造する場合、デザインシンキングの手法と併せてアジャイル型の手法が採用されるケースも珍しくないとガートナーは説明しています。

一方、基幹系にあたる差別化レイヤや記録レイヤなどの業務アプリケーションの領域では、ウォーターフォール型と比べて「より早く」「より安く」開発できることがアジャイル型開発に期待される場合が多くなります。

しかしこのレイヤでのアジャイル型開発が、「思ったほど早くなかった」「思ったほど安くなかった」と評され、プロジェクトとして成功してもその後はなかなか社内に広がらない状況に陥ることが少なくないとのこと。

ここでのアジャイル型開発の浸透を図るには、企業全体でアジャイル型開発の特徴 (変化への機敏な対応) を理解し、その採用目的を共有する必要があります。しかし、そこに至るまでにはまだ時間がかかるとガートナーでは予測しているとのことです。

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Junichi Niino(jniino)
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