昨年破綻したティントリが復活後、国内初の発表会。「人を雇いすぎていたのが間違いの1つだった」
仮想化専用ストレージベンダとして急成長を遂げ、2017年6月にはNASDAQへの上場を果たしたティントリ。しかしその翌年には資金繰りに問題を抱えていることが表面化し、結局2018年7月に破産申請をします。
破産後のティントリはHPC向けのストレージなどを提供するDataDirect Networks(以下DDN)が資産取得に乗り出し、2018年9月には買収を完了。「Tintri by DDN」として再出発しました。
かつて存在していたティントリジャパンも本社の破産申請時には事実上機能を停止していましたが、DDNの日本法人である株式会社データダイレクト ネットワークス ジャパンの事業部として再び体制を作り、活動を再開。
その復活したティントリの日本における初めての記者発表が5月23日に行われ、日本とグローバルでのTintri by DDNの新体制の説明およびストレージ製品の新機能として予定されているデータベース統合の紹介が行われました。
DDNジャパンの事業部として「Tintri by DDN」が再出発
株式会社データダイレクト ネットワークス ジャパン(以下DDNジャパン) ゼネラルマネージャー のロベルト トリンドル氏は、DDNについて「20年ほどの歴史を持ち、HPC分野での専業ベンダとしてニッチ的な分野をずっとやってきた」と流ちょうな日本語で同社を紹介。
DDNは数年前からビジネスを拡大する戦略をとり、その結果昨年Tintriを買収、今月に入ってSoftware Defined StorageベンダのNexentaの買収を発表。企業向けストレージのラインナップを着実に拡大しています。
DDNジャパンは現在社員50名ほどで、うち35名程度がエンジニア。このDDNジャパンの事業部のひとつとして「Tintri by DDN」のビジネスが位置づけられるとのこと。
次に登壇したTintri by DDNのワールドワイド セールス&マーケティング シニアバイス プレジデントであるフィリップ トリコビク氏は、Tintri事業部はワールドワイドで約150名。うち約50名のサポートと約40名のエンジニアは再雇用で、日本にも専任のサポート3名が置かれていると説明。
ティントリの破産は財務面での規律が欠けていたため
トリコビク氏は5年前にティントリに入社した人物。破産前のティントリを振り返り、「ティントリは技術や製品や顧客は持っていたが、財務的な側面の規律が失われていた」と財務面で問題を抱えていたと指摘。「人を雇いすぎていたのが間違いの1つだったが、新体制では余剰人員は減らされており、しかもバックオフィス、財務体制などをDDNと共有している」として、現在では破産に至った問題は解消されているとしました。
またトリコビク氏は、破産後に大規模なエンタープライズカスタマの4割か5割は離れると予想していたものの実際には1社も離れられることなく、DDNによる買収後のビジネスは順調で、過去2四半期連続で黒字化していると説明します。
新機能としてストレージがデータベースを理解、最適化へ
Tintri by DDNが新機能として開発中なのが、Tintriストレージに対するデータベース統合機能です。
もともとTintriのストレージは、仮想化専用のストレージとして登場しました。これはストレージ内に保存された仮想マシンへのアクセスをストレージが理解してストレージ内のキャッシュや帯域幅などをダイナミックに最適化することで、自動的に高い性能を発揮できるというものです。
特に多数の仮想マシンへのアクセスが集中するVDI(仮想デスクトップ)などの用途で高いコストパフォーマンスと自動化による運用の負担軽減を実現できるものとされています。
新機能として発表されたデータベース統合機能は、このストレージのダイナミックな自動最適化をデータベースにも適用するというもの。これまでデータベースごとにストレージ領域を分けて領域ごとにチューニングしていたものが、ストレージ上に多数のデータベースをまとめて運用したとしてもデータベースごとに自動的に最適化が行われることになります。
データベースのためのストレージチューニングはときに大きな手間や工数とデータベースに対する知識や経験が求められることがありますので、これが自動化されることは一定の価値があるといえるでしょう。
この新機能は年内登場予定で、まずマイクロソフトのSQL Serverに対応予定。順次OracleやPostgreSQLなど対応へ広げていくとしています。さらに将来的にはデータベースに限らずさまざまなワークロードを認識しワークロードごとに最適化できるような機能へと広げていくとしています。
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