インテル、アルテラ買収後初のXeonとFPGAの統合製品「Intel Xeon Scalable Processor 6138P」発表。FPGAで仮想スイッチを高速に実行
インテルが、XeonコアとアルテラのFPGAを統合した初めての製品「Intel Xeon Scalable Processor 6138P」を発表しました。
インテルの成長を支えてきた集積回路の微細化と高クロック化によるプロセッサの性能向上が、数年前から限界に近づいてきていると言われる中で、インテルはこれからのプロセッサ性能を向上させる重要な技術としてFPGAに着目。2015年に大手FPGAベンダのアルテラを買収しました。
FPGA(Field Programmable Gate Array)とは、チップ内部のロジックをソフトウェアによってあとから自由に書き換えられるLSIの一種です。ロジックを書き換えることで従来のLSIよりも特定の処理を非常に高速に処理できるようになります。
複雑なロジックを得意とする汎用プロセッサであるXeonと、特定の処理の高速処理を得意とするFPGAを組み合わせることで、汎用プロセッサだけでは頭打ちになってきたプロセッサの性能向上と消費電力の削減を前身させようとしたのです。
インテルはXeonとFPGAとの統合について、まず第一段階としてXeonコアとFPGAコアを1つのプロセッサ内にパッケージした製品をリリースすると、アルテラ買収時に発表しています。今回の「Intel Xeon Scalable Processor 6138P」はそれにあたります。
そして近い将来、XeonコアとFPGAコアを完全に統合した製品をリリースする予定でいます。
Intel Xeon Scalable Processor 6138P内部には、ソケットあたり160GbpsのI/O帯域を持つアルテラのFPGA「Arria 10 GX 1150」が搭載されており、独自のキャッシュとともに高速な内部バス経由でプロセッサと共有メモリで接続されています。
インテルはこのXeonとFPGAを搭載したサーバで仮想スイッチソフトウェアであるOpen Virtual Switchを利用した場合に、同一性能のXeon搭載のサーバと比べてスループットが3.2倍、レイテンシが半分、サーバ上で2倍以上の仮想マシンが利用できたと説明しています。
これはFPGAによって汎用プロセッサであるXeonよりも高速なパケット処理を実現できたからだと考えられます。インテルはこのほかFPGAによって機械学習や暗号処理、データ分析など多くの処理を高速に処理できるとしています。
このOpen Virtual Switchに対応したリファレンスデザインを持つIntel Xeon Scalable Processor 6138P搭載のサーバは、富士通が製品化を予定しています。
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