Windows 10、次期アップデートでLinuxのdaemonもサポートする見通し、Windows Subsystem for Linuxで対応
Windows環境でLinuxバイナリを実行するためのWindows Subsystem for Linux(WSL)の新機能として、Linuxの常駐プログラムであるdaemonを含むバックグラウンドプロセスがサポートされることが分かった。
Windows 10はこれまで春と秋の年に2回ずつ大型のアップデートが行われてきました。そしてWindows 10におけるLinuxバイナリの実行環境であるWindows Subsystem for Linux(WSL)も、この大型アップデートごとに機能が強化されてきました。
前回の大型アップデートは2017年10月に行われた「Windows 10 Fall Creators Update」で、このアップデートによりWSLはベータ版を卒業して正式版となっています。また、同じタイミングで正式名称として発表時に使われていた名称「Bash on Windows」が非推奨となり、「Windows Subsystem for Linux」が正式名称となったのです。
次のWindows 10の大型アップデートは今年3月か4月に行われるはずですが、このアップデートではWSLでUNIXの常駐プログラムであるdaemonおよびバックグラウンドプロセスがサポートされる見通しとなりました。
daemonを含むバックグランドプロセスをサポート
マイクロソフトはWindows 10の正式リリース前の機能を試すことができるWindows Insider Programを提供しています。このプログラムに参加すると、Windows 10 Insider Previewと呼ばれる、開発中の版のWindows 10を利用可能になります。
そして少し前ですが、昨年12月にWindows Insider Program向けに提供されたWindows 10 Insider Preview Build 17046には、WSLの新機能としてLinuxのdaemonを含むバックグラウンドプロセスのサポートが開始されたと、Windows Command Line Tools for Developersブログに投稿された記事「Background Task Support in WSL – Windows Command Line Tools For Developers」で紹介されました。
WSL supports background tasks (including daemons). In the past, if you opened WSL and started sshd, httpd, screen, or tmux you needed to have a console window open to keep those tools running. But, starting with 17046, these processes will continue running in the background even after the last console window has been closed.
WSLはバックグランドタスク(daemonを含む)をサポートします。これまでは、WSLを起動してsshdやhttpd、screen、tmuxなどを利用する場合、これらの実行状態を維持するためにコンソールウィンドウを開きっぱなしにしておく必要がありました。
しかし17046からは、すべてのコンソールウィンドウが閉じられたとしてもバックグラウンドで実行を継続するようになります。
Windows 10 Insider Preview Buildで追加された機能は、基本的には次の大型アップデートに向けて実装され、フィードバックを受けて改善されていくものです。
もちろんフィードバックの結果、機能が取り消されることもあり得ますが、WSLの機能強化が取り消されることはまずあり得ません。今春に登場するとみられる次のWindows 10の大型アップデートでは、WSLでのdaemonとバックグラウンドプロセスのサポートが行われることでしょう。
参考記事
VMwareはvSphereに対するベータコミュニティメンバーの募集を開始しました。次期バージョンだけでなく、将来にわたってvSphereへのフィードバックを得るためのコミュニティを形成したいとのことです。
Windows ServerでもLinuxのdaemon群が稼働する
WSLはWindows 10だけでなくWindows Serverにも実装されます。すでに昨年8月に提供が開始されたWindows Server Insider Previewで、Windows Server向けのWSLが実装済みです。
Windows ServerのWSLでもバックグラウンドプロセスがサポートされ、さまざまなLinuxのdaemonが実行できるようになれば、Windows Serverのプラットフォームの使い勝手はとてもユニークなものになるはずです。
マイクロソフトは昨年10月、WSLの開発チームをWindowsコンテナおよびHyper-Vを開発するチームと統合しました。Windowsにおけるこの3つの機能、WSL、コンテナ、Hyper-Vはいずれも、Windowsにおいてそれぞれの方法でLinuxアプリケーションを実行することが主な用途となっています。今後はこれらが連携して、さらにWindowsにおけるLinuxサポートを強化していくのでしょう。
昨年の5月に書いたように、マイクロソフトは「Windows Subsystem for Linux」を強化し、Windowsを「WindowsとLinuxのどちらのバイナリも開発、実行できるプラットフォーム」にするつもりです。Windows 10およびWindows Serverは、今後さらにLinuxとの親和性を高めていき、WindowsとLinuxのどちらのアプリケーションも実行できるプラットフォームになっていくことは間違いありません。
下記がマイクロソフトが公開した解説動画です。(ブラウザの右クリックなどで)単独の画像で表示すると拡大され、見やすくなります。
参考記事
マイクロソフトは、Windows 10に機械学習専用のAPI「Windows ML」を搭載すると、3月7日に米国で開催したイベント「Windows Developer Day 2018 March」において明らかにしました。
マイクロソフトはWeb技術を用いてネイティブアプリケーションのように動作するProgressive Web Apps(PWA)を、WebブラウザのEdgeにとどまらず、Windows10のデスクトップ環境でも実行可能にすることを明らかにしたました。
あわせて読みたい
資金が尽き12月に廃刊するはずだったLinux Journal、一転して支援者により存続へ、「Linux Journal 2.0」を宣言
≪前の記事
Google、クラウドでのGPUの利用価格が半額になる「プリエンプティブGPU」発表。ただし、いつシャットダウンするかGoogleが決めることも