オープンソースのWebIDE「JupyterLab」がベータ公開、Python/R/Scalaなどに対応。データ解析環境から統合開発環境へと進化
Jupyter Projectは、オープンソースの統合開発環境「JupyterLab」をベータ版として公開したことを発表しました。
データサイエンティストが重宝するJupyter Notebookのバージョンアップ版
JupyterLabは、Webブラウザから使えるPythonやR、Scala言語に対応した統合開発環境です。現在リリースされているデータ解析環境である「Jupyter Notebook」のメジャーバージョンアップ版としてJupyter Notebookの主な機能であったNotebook機能をそのまま継承し、開発されています。
Jupyter NotebookのNotebook機能とは、シンプルなエディタ画面にPythonやScala、Rなどのコードを打ち込んで、すぐに実行できるインタラクティブなコード実行環境です。結果も同じNotebook上に表やチャートの形式で表示可能です。
Notebookは、Markdown/LateX/HTMLなどを記述することでリッチなテキスト表現と画像や動画の埋め込みなどもできます。
このようにインタラクティブなコードの実行環境とリッチなテキスト表現などをNotebook上でまとめられるのが、ほかのエディタや開発環境にはないJupyter Notebookの最大の特徴です。
そしてこの特徴と、PythonやR、Scalaといったデータ解析を得意とするコードのサポートなどにより、Jupyter Notebookはデータサイエンティストのあいだで重宝されるデータ解析ツールとされているのです。
Notebookの機能にターミナル、ファイルブラウザなどを統合
そのJupyter Notebookのメジャーバージョンアップ版として開発されているJupyterLabは、Notebookの機能だけでなく、ターミナル画面の機能、ファイルブラウザ、テキストエディタなどの機能が統合され、それらをタブによって同時にいくつも開くことができるようになり、統合開発環境と呼ぶべきツールへと進化しました。
拡張機能によって機能をあとから追加することも可能(JupyterLabの基本機能であるNotebookやファイルブラウザ、ターミナルも拡張機能として実装されていると説明されています)。すでに、JSONやCSVの読み込み機能、JSONフォーマットで地図情報を記述するgeoJSONによる地図表示などが用意されています。
JupyterLabは今年後半に正式版となるバージョン1.0がリリース予定。また、現バージョンであるJupyter Notebookは、JupyterLabが正式版となった後のいずれかのタイミングでJupyterLabへと置き換えられていくことも発表されています。
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