VMware、ラズパイ用のESXiをデモ。vSANやvMotionなどvSphereの全機能を実装と説明
VMwareはスペインのバルセロナで開催中のイベント「VMworld 2018 Europe」の基調講演でRaspberry Pi用 vSphere ESXi仮想化ハイパーバイザのプロトタイプを発表した後、テクニカルセッション「VMware at the Edge: Automation, Analytics, and Real-Time Business」でそのデモンストレーションを披露しました。
ラズパイでvSANやvMotionを実現
デモでは、まずRaspberry Piを起動。
Raspberry Pi用のESXi-ARMがローディングを開始。
いくつかのサービスの起動が始まります。
デモでは残念ながらネットワークカードのドライバの部分でエラーが出たようで、最終的な起動には成功しませんでした。
説明によると、Raspberry Pi用のESXiはvSphere ESXiとしてフル機能を実装し、2ノードをイーサネットで接続することでvSANやvSphere HAクラスタの構成が可能になるとのこと。
Raspberry PiでESXiを利用する例として、vSAN構成におけるWitnessノードとして利用することで、わざわざインテルサーバでWitnessノードを用意する必要がなくなること(注:Witnessノードとは、2ノードのvSAN構成時にスプリットブレインが発生しないようにするための第三のノードのこと)。
vSphere ESXiのフル機能が実装されているということは、vCenterから一括管理が可能。vMotionもできるため、ESXiを搭載した複数のRaspberry Piがネットワークで接続されている場合、あるRaspberry Piノードの仮想マシンを別のノードへ移動し、そのあいだにファームウェアのアップデートなどを無停止で行えるとされています。
もちろん仮想化ハイパーバイザとして複数の仮想マシンをRaspberry Pi上で実行できるため、例えばある仮想マシン上でホームゲートウェイの機能実行しつつ別の仮想マシンで何らかのアプリケーションを実行し、どちらかがクラッシュしてももう一方には影響しないという安全な分離も実現します。
すでにRaspberry Pi用のvSphere ESXiにはvSANが搭載されており、ネットワーク仮想化のNSXは作業中だとのことです。
ESXi for Armをベース
今回発表されたRaspberry Pi用のvSphere ESXiは、今年8月にラスベガスで開催された「VMworld 2018 US」で発表されたARMプロセッサ用の仮想化ハイパーバイザ「ESXi for Arm」をベースにしたものです。
VMwareは利用者に近いところ、すなわちエッジでデータを集めて処理するマイクロデータセンターを構築するための技術としてRaspberry Piのような小型のマシンに注目。
Raspberry PiへのvSphere ESXiの搭載も、マイクロデータセンターや、さらに小型のナノデータセンターを実現する技術として考えているとしています。
そうしたVMwareのテクノロジーをエッジへ拡大していくプロジェクトとして、同社は「Project Dimension」を発表しています。
VMworld 2018 Europe
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