オンプレミスのVMware環境にAWSのアベイラビリティゾーンを構築、「Amazon RDS for VMware」はAWSがリモートでDBを管理運用。東京リージョンでも提供
8月に行われたVMwareのイベント「VMworld 2018 US」で、VMwareとAmazon Web Services(AWS)は「Amazon RDS on VMware」を発表しました。
これは、これまでAWSが自身のクラウド上で提供してきたデータベースのマネージドサービスである「Amazon RDS」を、オンプレミスのVMware環境上で提供するというもの。Oracle、SQL Server、MySQL、PostgreSQL、MariaDBを提供予定。
つまり単にオンプレミスのVMware環境でデータベースが走るだけでなく、AWS上のAmazon RDSと同様にAWSコンソールからVMware環境上にデータベースがプロビジョニングでき、AWSが自動的にバックアップやパッチの適用をしてくれ、障害時のフェイルオーバーといった運用もすべて行ってくれるという、AWSによるマネージドなデータベースサービスがVMware環境上で提供されるのが「Amazon RDS on VMware」なのです。
そしてこれはAWSがAWS以外のクラウド環境でサービスを提供する点で、AWSにとってこれまでにないチャレンジングな新サービスといえます。
AWSがVMwareの肩を借りてオンプレミスへ攻め入る
AWSとVMwareの協業として最初に発表された「VMware Cloud on AWS」では、AWSはインフラをVMwareに貸し出す立場であり、VMware Cloud on AWSの運営、販売、サポートはすべてVMwareが行っています。
そのため両社の協業において、AWSはあくまでVMwareがクラウドを展開するためのインフラを提供するインフラ屋に徹するのではないか、とも考えられていました。
ところが、この「Amazon RDS on VMware」はAWSのサービスとしてAWSが提供し運営するものです(だからこそジャシーCEOが発表したわけです)。
つまりAWSとVMwareの協業において、こんどはAWSがVMwareの肩を借りてオンプレミスへと攻め入ろうとしている、AWSにとって初めての本格的なオンプレミス向けのサービスなのです(これまでも「AWS Storage Gateway」のようなオンプレミス向けのサービスはありましたが)。
ローカルのVMware環境をAZとし、AWSとVPNで接続
発表時に「Amazon RDS on VMware」がどのような実装と機能になるのか基調講演では説明されていませんでしたが、AWS News Blogの記事「In the Works – Amazon RDS on VMware」(Amazon RDS on VMware開発中)で、その概要を説明しています。ポイントを抜き出してみましょう。
アーキテクチャ
vSphere環境がローカルなAWSのアベイラビリティゾーンとなり、インターネット経由もしくは専用線のAWS Direct Connect経由のVPNでAWSと接続される。vSphere環境にまたがるAmazon RDSのマルチアベイラビリティゾーン構成も可能。
バックアップ
バックアップはローカルであるオンプレミス上のストレージもしくはAWSのストレージを利用可能。それぞれの場所の保存ポリシーの影響を受ける。バックアップはポータブルで、Amazon RDSインスタンスの作成に利用可能。同一環境上であればPoint-in-Timeリカバリもサポート予定。
マネジメント
vSphere上のAmazon RDSは、Amazon RDSコンソールとvCenterのどちらからも管理可能。またAmazon RDS CLIとAmazon RDS APIからも管理可能。
そしてこの記事によると、最初に提供されるリージョンは米東(北バージニア)、米西(オレゴン)、アジア太平洋(東京)、欧州(フランクフルト)だと説明されています。
東京リージョンには年内(つまりあと約3カ月以内には)にもVMware Cloud on AWSも提供が開始される見通しですので、Amazon RDS on VMwareも同様のタイミングで提供されるのかもしれません。
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