石狩データセンターの非常用発電機が停止する瞬間、商用電源に切り替わる作業の動画
9月6日に北海道で発生した地震の影響による停電で北海道電力からの電力供給を失い、ディーゼル発電機による発電で稼働を続けていたさくらインターネットの石狩データセンターは、9月8日土曜日に北海道電力からの電力供給が回復、非常用発電設備を停止させました。
同社の田中邦裕社長がツイートで、その非常用発電設備が停止する瞬間の動画をツイートしています。
石狩データセンターの非常用発電設備の運転終了の瞬間です。60時間近くという、恐らくDCの歴史的最も長時間稼働した設備の一つで、最後まで支障なく動いてくれた事に感謝です。結果として備蓄燃料は70時間程度あり、節電運転する事で100時間程度が無給油で出来る状態でした。 pic.twitter.com/016aQg10Pj
— 田中邦裕 (@kunihirotanaka) 2018年9月8日
ちなみに、石狩データセンターにはV12の1MWが6機、V16の1.5MWが5機の、計11機のディーゼルエンジンがあり、13.5MWの容量があります。これらを実際の負荷状況で最低でも48時間は稼働させられる重油を用意することにしており、停電時に実際には70時間強の備蓄がありました。
— 田中邦裕 (@kunihirotanaka) 2018年9月8日
北海道では現在も電力供給がひっぱくしており、同社は引き続き非常用発電装置の再稼働に備えて燃料となる重油を手配しているとのこと。
なお、引き続き重油の手配をしており、来週以降も給油は継続致します。
— 田中邦裕 (@kunihirotanaka) 2018年9月8日
タンクの空容量は十分にありますので、再度の大規模停電が発生しても継続提供ができるよう、他の重要施設様と確保量を調整をしつつ、平常時よりも備蓄する重油を増やす予定です。
重油はタンクローリーによってデータセンターへ運ばれ、データセンター内のタンクに備蓄されます。下記は9月7日に行われた給油のようすを、同社広報がツイートで報告しているもの。
【石狩データセンター】お客さまには、大変ご心配、ご迷惑をおかけしており、深くお詫び申し上げます。一部復旧した電力と非常用発電設備により現在も正常に稼働を継続しております。ただいま、非常用発電設備の追加燃料の給油を行っております。 pic.twitter.com/ThryV5qOD6
— さくらインターネット広報 (@sakura_pr) 2018年9月7日
一方、同社のこたまご氏は、この非常用発電装置の終了と同時刻に、非常用発電から北海道電力の商用電力へ順次切り替わっていく動画をツイートしています。
せっかくなので。
— こたまご (@chibiegg) 2018年9月8日
全く同時刻、復電する瞬間も残しておきます。
電源供給を断つことなく、正常に切り替えをしてくれてありがたい限りです。 pic.twitter.com/P3CnBzktHJ
同社は下記のように定期的に非常用発電装置の起動試験と切り替えの試験を行っているとのことです。
発電機の起動試験は月に一回行っており、年に一回は系統切り替えの試験を行なっています。
— 田中邦裕 (@kunihirotanaka) 2018年9月8日
燃料は起動試験で消費するので、都度注ぎ足ししています。
データセンターにおいて非常用発電装置への切り替えが発生するのは文字通り非常時であり、また一般にデータセンター内部は機密性が高いものとして扱われます。そのため、実際に本番で使われた非常用発電装置の稼働終了と切り替えの瞬間が動画として記録され公開されるのはとても珍しいことです。
少なくとも国内の事例としては初めてだと思いますし、今回の「平成30年北海道胆振東部地震」の記録としても貴重なものといえるでしょう。
時間がたつにつれてこの記録がツイートの時系列に埋もれてしまわないように、ここに記事としてまとめておきました。
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