コンテナオーケストレーションツールはKubernetesが半数以上のシェアを獲得、Swarmのシェアもやや上昇。Sysdigの調査、2018年6月
モニタリングツールベンダのSysdigは、同社のツールで収集した情報を基にコンテナやコンテナオーケストレーションの利用状況をまとめた「2018 Docker Usage Report」を発表しました。
レポートでは、コンテナの普及が進むなかで、昨年と比べてホストあたりのコンテナ密度は50%上昇し、今後もコンテナの密度は上昇すると予想されています。
レポートからおもな項目を3つだけ紹介しましょう。
コンテナランタイムに関するシェアでは、Dockerが83%とほかを引き離して圧倒的な地位を維持しています。
しかし今後は、Googleがオープンソース化したgVisorやOpenStack Foundationが開発したKata Containers、Kubernetesにネイティブ対応したコアランタイムのcontainerdなど多様なランタイムが登場すると見込まれており、Dockerのシェアは徐々に低下するのではないでしょうか。
- コンテナの軽量さと、より安全な分離を実現する「gVisor」、Googleがオープンソースで公開 - Publickey
- コンテナの軽量さと仮想マシンの堅牢さを兼ね備えた新しいコンテナ実装「Kata Containers」、OpenStack Foundationが発表 - Publickey
- Kubernetes対応コンテナランタイム「containerd 1.1」正式リリース。CRIにネイティブ対応し、Dockerより軽量で高速な動作を実現 - Publickey
コンテナオーケストレーションにおけるツールのシェアは、Kubernetesが昨年の43%から上昇して51%、Mesosは9%から4%に低下、Docker(Swarm)は7%から11%へと上昇しています。
Kubernetesが半数を超えるシェアで他を大きく引き離しているのは予想通りですが、Swarmが上昇している理由についてはDockerでKubernetesとSwarmが統合されたことで、オーケストレーションツールの手始めに手軽なSwarmを選択するユーザーが増えたためではないかと分析されています。
下記は、Kubernetesを利用しているユーザーがどのようなツールを経由してKubernetesを利用しているのか、です。Kubernetesをそのまま利用しているユーザーが最も多く、OpenShift経由、Rancher経由で利用しているユーザーも多少いる、という結果になっています。
Kubernetesをそのまま利用しているユーザーが多い理由として、クラウドにおいてAzure Kubernetes Service(AKS)のようなKubernetesのマネージドサービスが揃っており、これを利用しているユーザーが多いからだと分析されています。
ただしこれはいまのところKubernetesを抽象化するようなソフトウェアの選択肢がほとんどないため、こうした傾向になるのは当然ではないかと考えられます。
クラウドのアプリケーションの基盤として、コンテナとそのクラスタを支えるオーケストレーションツールのデファクトが事実上Kubernetesに決まった現在、これからそのレイヤをさらに抽象化してPaaSやサーバレスコンピューティングのように簡単に使えるアプリケーションプラットフォームになっていくのか、それともKubernetesそのものが進化してより使いやすく、あれもこれもしてくれる手厚いツールになっていくのか、ここはこれから数年かけてトレンドの変化を見ていくべき分野ではないかと思います。
さらに詳細なレポートは下記をご覧ください。
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