シスコがKubernetesベースの「Cisco Container Platform」発表。Google Kubernetes Engineとのハイブリッドクラウド構成も
米シスコシステムズは、バルセロナで同社が開催中のイベント「Cisco Live 2018 Barcelona」で、Kubernetesをベースとしたコンテナプラットフォームソフトウェア「Cisco Container Platform」を発表しました。
The next milestone in enabling #multicloud is here! Learn more about the Cisco Container Platform via @kipcompton:https://t.co/7lx8KmQ0tO #CLEUR pic.twitter.com/AEFSeGffjL
— Cisco (@Cisco) 2018年1月31日
コンテナはクラウド時代におけるアプリケーションの実行環境として本命視されているため、その実行基盤となるコンテナプラットフォームには多くのソフトウェアベンダが参入している激戦区となりつつあります。
例えば、DockerはDockerそのものにKubernetesを統合してプラットフォーム化しようとしており、VMwareはvSphereにコンテナ機能を統合した「vSphere Integrated Containers」を提供、Red HatはKubernetesを用いたOpenShiftを以前から提供しており、Pivotalは「Pivotal Container Service」発表し、ハイパーコンバージドベンダのNutanixも「Acropolis Container Services」を提供するなどしています。
これらコンテナプラットフォームの核となっているのが、Googleが開発しオープンソース化したコンテナオーケストレーションツールのKubernetesです。
今回発表されたコンテナプラットフォームソフトウェア「Cisco Container Platform」もKubenretesを核としたものであり、上記の製品などと競合関係にあるといえるでしょう。
シスコはネットワーク機器ベンダとしてスタートし、その後Cisco UCSの提供開始によってサーバ分野へ進出、いまでは主要なサーバベンダの一角を占めるまでになりました。
そして最近ではシステム管理ツールベンダのAppDynamicsを買収し、ハイパーコンバージドの基盤ソフトウェアを提供するSpringPathを買収するなど、同社が強みを発揮しているハードウェアに隣接するソフトウェアについては積極的に自社で提供する姿勢を明らかにしています。
今回のCisco Container Platformの発表も同様に、自社のサーバやネットワークに対応したコンテナ実行環境は自社で提供するという姿勢が貫かれたように見えます。
Cisco Container Platformは企業レベルのKubernetesサポートを提供
Cisco Container Platformは、コンテナオーケストレーションツールのKubernetesとコンテナランタイムなどから構成されるソフトウェアです。Dockerコンテナに対応したアプリケーションを分散環境でスケーラブルかつ高い可用性を実現しつつ実行可能にします。
同社のハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品であるHyperFlexや同社サーバ製品、同社ネットワーク製品などに対応したコンテナプラットフォームソフトウェアです。
主な特徴として、以下が挙げられています。
- オープンソースコミュニティのKubernetesのアップデートをそのまま反映する
- エンタープライズレベルのKubernetesサポート
- サービスメッシュのIstioやAPI管理サービスのApigeeなどと統合可能
- Google Cloud Platformとのアプリケーションのポータビリティを実現
- Google Clodu Platformとのハイブリッドクラウドの構築が可能
シスコは2017年10月にGoogleとハイブリッドクラウドにおける提携を発表しています。Google Cloud Platformとのハイブリッド構成はこの提携の下で行われることになります。
一方のGoogleはKubernetesを開発した企業であり、Google Cloud PlatformではKubernetesのマネージドサービスであるGoogle Kubenetes Engineを提供しているなど、Kubernetesを軸にしたクラウドサービスに強みを発揮しています。
そのため、GoogleはシスコだけでなくNutanixやPivotalなどとハイブリッドクラウドにおける提携を行っています。クラウド市場においてAWSやMicrosoft Azureを追いかけるGoogleとしては、コンテナプラットフォームにおけるKubernetesのデファクトスタンダード化は大きな追い風になっているといえるでしょう。
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