「Jenkins X」発表。Git/Docker/Kubernetesに特化したことでCI/CD環境の構築運用を自動化

2018年3月22日

ソフトウェアの開発プロセスにおいて、「Jenkins」はビルドやテスト、デプロイなどを自動化してくれるツールとしてよく知られています。

そのJenkinsの派生プロジェクトとして、「Jenkins X」が発表されました。Jenkins Xは、Git、Docker、Kubernetesの環境を前提とすることで、Jenkinsの設定、運用などを大幅に自動化し、より簡単な導入と運用を実現するものです。

Jenkins X

Jenkins Xは、Git/Docker/Kubernetes環境に特化

オリジナルのJenkinsは汎用的なビルドやテストの自動化ツールとして、さまざまな環境やツールと連係できるように作られています。そのため柔軟なコンフィグレーションが可能になっていますが、一方でそれが導入やコンフィグレーションの複雑さにつながり、手間がかかると認識される面がありました。

一方、ここ数年でソースコードのリポジトリとしてGitが普及し、実行環境としてはDockerコンテナの利用も広がり、DockerコンテナのオーケストレーションツールとしてKubernetesが事実上の標準の地位を得たとみられるようになりました。

そこでJenkins Xは、あらかじめGit、Docker、Kubernetesを利用するという前提でJenkinsの環境設定や運用をできるだけ自動化するように作られています。

Jenkinsブログの記事「Introducing Jenkins X: a CI/CD solution for modern cloud applications on Kubernetes」によると、Jenkinx Xは次のような機能を備えています。

Jenkins X導入時には、自動的にJenkinsのコンフィグレーションであるJenkinsfile、ソースコードをビルドして実行可能なDockerイメージにパッケージングするためのDockerfile、それをKubernetes環境へデプロイするための構成ファイルであるHelm chartが自動的に生成されます。

プルリクエストが発生すると、Jenkins Xは自動的にテスト、ビルドしたDockerイメージをKubernetesのPreview名前空間にデプロイ。開発チームのメンバーはすぐにプレビュー版を試すことが可能です。

プルリクエストがマスターブランチにマージされると、新しいバージョン番号が付けられたリリースがビルドされ、Kuberenetes上のステージング環境へデプロイされます。

Kubernetes上のステージング環境やプロダクション環境(本番環境)などの構成もすべてGitでコードとして記述され、Jenkins Xによって管理されます。同社はこれをGitを使った運用(Operation)ということで「GitOps」と名付けています。

Jenkinsは事実上、DockerコンテナとKubernetesを基盤としたアプリケーションを開発することにフォーカスしていると言えます。この環境に対応するアプリケーションの開発は、現時点ではまだ野心的なプロジェクトですが、Jenkins Xはそこを割り切ることでJenkinsの将来像の1つを示すプロジェクトとなることを目論んでいるのでしょう。

下記はJenkins Xが容易に導入できることを示した動画です。


参考記事

ビルドやテスト、デプロイなどの自動化ツール「Jenkins」のUXをシンプルかつビジュアルにする「Blue Ocean」が、正式版のバージョン1.0に到達。リリースが発表されました。

ビルドやテスト、デプロイなどの自動化を実現してくれるツール「Jenkins 2.0」が登場し、そのJenkinsのUXをモダンで魅力的なものにする新プロジェクト「Blue Ocean」が発表され、ソースコードの公開が始まりました。

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