JavaでJavaScriptを実行する「Nashorn」が非推奨に、ECMAScriptの速い進化に追いつけないと。代替案はGraalVM
JavaでJavaScriptエンジンを実装し、JavaVM上でJavaScriptを実行可能にする機能「Nashorn」は、JDK 8で新たに搭載された機能でしたが、2018年5月8日付けで登録された「JEP 335: Deprecate the Nashorn JavaScript Engine」で非推奨(depricated)となり、将来的には廃止されることになりそうです。
JavaVM上でJavaScriptを実行する機能としては、Nashorn登場以前からMozillaが開発したオープンソースのRhinoが存在しており、Java 6からサポートされていました。
NashorhはこのRhinoを置き換える形でオラクルが開発を始め、ECMAScript 5.1に対応したより高速でセキュアなJavaScriptエンジンとしてJDK 8に搭載されました(JEP 174: Nashorn JavaScript Engine)。
しかし今回のJEP 335で非推奨となり、将来的にはこの機能がJDKからなくなることが予想されます。
非推奨の理由として、JavaScriptの言語仕様を策定しているECMASccript仕様の進化が速く、それに追随していくのが難しくなっていることが挙げられています(下記は「JEP 335: Deprecate the Nashorn JavaScript Engine」のMotivationの項目から引用)。
With the rapid pace at which ECMAScript language constructs, along with APIs, are adapted and modified, we have found Nashorn challenging to maintain.
Nashornが非推奨となることに対する代替措置として提案されているのが、オラクルが多言語対応VMとして開発を進めているGraalVMおよびそのうえでJavaScriptを実行可能にするGraalJSの利用です。GraalVMは単一のVMとしてJavaやJavaScriptだけでなくRubyやPythonなども実行可能な仮想マシン。
- オラクル、JavaやJavaScript、Ruby、Pythonなど多言語対応を単一ランタイムで実現する「GraalVM」をオープンソースで公開。Twitterが本番環境で採用 - Publickey
すでにTwitterがGraalVMを本番環境に投入していると説明されており実用度も高そうなため、今後はGraalVMの存在感が高まってくるかもしれません。
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