Istioが正式版となるバージョン1.0に到達。マイクロサービスのためのサービスメッシュを実現
Googleなどがオープンソースで開発する「Istio」がバージョン1.0に到達したことが発表されました。
Istioは、Kubernetes上で稼働するコンテナで構成されるクラスタのあいだの通信などを制御することで、マイクロサービスとして構成されるアプリケーションの運用を支援するためのソフトウェアです。Istioが提供する機能群は「サービスメッシュ」と呼ばれています。
マイクロサービスを採用したアプリケーションは、複数のサービスから構成されています。このとき、一般に1つのサービスはおおむね複数のコンテナをまとめたクラスタで実行されています。
マイクロサービスの基盤の1つとなるKubernetesは、このクラスタが安定稼働するように、クラスタ内の個々のコンテナに対するロードバランシングや、負荷に対するスケーラビリティの実現、コンテナの死活管理などを行います。
そしてIstioはサービス間を安定的かつセキュアにつなぐためのサービスを提供します。サービス間のトラフィックの管理やルーティング、ロードバランシング、暗号化通信や認証サービス、モニタリングなどを実現するのです。これが「サービスメッシュ」です。
例えば、Istioのサービス間トラフィック管理機能を用いると、あるサービスのバージョンアップ版をデプロイした上でトラフィックを現行版からバージョンアップ版へ切り替えるBlue/Greenデプロイメントや、トラフィックの一部だけをバージョンアップ版へ振り分けて動作状況を観察するカナリアリリース、もしくはA/Bテストなどが可能になります。
Istio 1.0では、異なるKubernetesクラスタ間を1つのサービスメッシュとしてサポートする「Istio Multicluster」などの新機能が追加され、インストール方としてHelmチャートを用いた方法が推奨になりました。
Googleは先月行ったイベントGoogle Cloud Next '18で、IstioとKubernetesなどをマネージドサービスで提供する新プラットフォーム「Cloud Services Platform」を発表しています。
IstioはGoogle、IBM、Lyftが主導してオープンソースで開発してきたソフトウェアであり、Google Kubernetes Serviceと同様に、IstioにおいてもGoogleがいちはやく商業サービスとして提供するのは当然のことでしょう。
しかしKubernetesマネージドサービスをAWSやAzureをはじめ多くのクラウドベンダーが提供を行っているように、これからIstioのマネージドサービスなどが各種クライドベンダから発表されることになると見られます。
関連記事
Istioが初めて公開されたのは2017年5月でした。
あわせて読みたい
プログラマ向けの開発支援ツールビジネスで成長し続ける理由。グレープシティがツール事業参入30周年[PR]
≪前の記事
破産後のTintriとDDNが契約、Tintriの顧客に対するサポートをDDNが開始。Tintriの資産もDDNが取得する方向で交渉中