GPU搭載の高密度サーバもラックにぎっしり集積可能な新設データセンター。ラックあたり30kVAの提供電力と1㎡あたり3トンの耐荷重をなぜ作った?[PR]
高性能サーバをラックマウントしようとしたところ、電源容量が足りず、もしくは機器の総重量にラックや床が耐えられず、サーバ数台のすかすかなサーバラックにせざるを得なかった。データセンターの作業でこんな経験をしたサーバ管理者もいるのではないでしょうか。
最近のサーバは以前のものよりも高密度にプロセッサやストレージを搭載するようになっていますし、GPU搭載サーバのニーズも高まってきています。そのため、以前と同じ大きさのサーバであっても、消費電力の増大とそれに伴う発熱、そして重量は以前よりも大きくなる傾向にあります。
一方で、これまで使われてきたデータセンターの電源容量や冷却能力、ラックや床の耐荷重などは、サーバの進化に連動して急速に向上する、というわけにはいきません。
最新のサーバやこれから登場する高性能なサーバをラックにぎっしりと集積し、高速なネットワークで接続して能力を発揮させるには、十分な電源容量と耐荷重性、そして高い冷却能力を備えたデータセンターが求められます。
データドックが今年1月に新潟県長岡市に開設した「長岡データセンター」は、まさにそうした目的で設計し構築された最新のファシリティを備えたものです。
サーバの高密度集積に対応。ラックあたり30kVA、床耐荷重が1㎡あたり3トン
長岡データセンターの大きな特徴は、高性能なサーバであってもラックにぎっしりと集積できる設計になっていることです。
ラックあたりの最大提供電力は30kVAで、マルチコアプロセッサやGPUなどを搭載した高性能なサーバを高密度にマウントしても十分な容量を備えています。と同時に、床耐荷重も一平方メートルあたり3.0トン、サーバラック自体も高い強度を持たせるために専用に設計されたものが使われています。
これにより高性能なサーバを少ないラックへ集積することが可能になり、効率的な運用コストや高速なサーバ間接続などを実現できます。
冷却能力についても、高集積なサーバの冷却を効率よく行えるようホットアイルとコールドアイルを分離した最新の方式に加え、寒冷地特有の気候を活用した雪氷冷却も採用。
さらに100Gbpsのバックボーンで東京のインターネット回線に直結。地理的にも長岡は東京から2時間以内にアクセスできる距離にありながら、地震に強い強固な地盤を持つとされています。
長岡データセンターの建物は河川の氾濫や洪水などにも備えた構造になっており、非常用電源も建物内に設置されているため、地震や水害時の稼働にも支障がないように作られています。
同社はこうしたファシリティを、世界最高水準のものだと胸を張ります。
この長岡データセンターでは、サーバを持ち込むハウジングサービス、設置されたサーバを利用するホスティングサービス、システム監視や復旧作業などを常駐スタッフが行うマネージドサービスなどのメニューが用意されています。
新規参入データセンターの勝機はどこにある?
データドックは2016年に設立され、2018年に同社初のデータセンターとして長岡データセンターを開設、データセンター事業に新しく参入してきた企業です。なぜ同社はデータセンター事業に参入し、どのような勝算があるのでしょうか。
同社取締役 データセンター長の齋藤壽勝(さいとう としかつ)氏と(写真右)、技術開発部 部長の岡本洋一(おかもと よういち)氏(写真左)に話を聞きました。
──── 正直に申し上げると、データセンター事業に新規参入した企業へのインタビューとして、もっと若くてエンジニアっぽい方がいらっしゃるのかと想像していました。まずはお二人のバックグラウンドを教えていただけないでしょうか。
齋藤氏 私は国内最大のキャリアグループに在籍し、そこでネットワーク関連やデータセンター関連の事業に関わっていました。一方、岡本も同じグループ企業に在籍し、データセンター関連の事業に関わっていくつもデータセンターの立ち上げを経験しています。
──── つまり非常に大きな企業に在籍されていたと。それがいま、データセンター事業へ新規参入される企業で働いておられる。しかもデータセンター事業はクラウドなどとの競合が始まっています。なぜ、このデータドックのデータセンター事業に新たなチャンスがあると考えられたのでしょうか?
齋藤氏 いまGPUを搭載した高性能なサーバやHPC用のサーバなどへのニーズが高まっています。これら能力の高いサーバは多くの電力を消費し、発生する熱も大きくなっています。
一方で、東京に集中している国内のデータセンターの多くは設備が古くなり始めており、こうした高い能力を持つサーバを大規模に展開できるところがほとんどないのが現状です。
つまりデータセンター市場は成熟しているわけではなく、いまのサーバの進化に追いついていないのではないかと考えています。だからこそ、私たちは10年以上先まで見通して使えるデータセンターを設計し、構築しました。
岡本氏 齋藤が指摘した通り、コンピュータに対するニーズが変化している中で、データセンターのライフサイクルがサーバのライフサイクルに追いついていないため、多くのデータセンターが最新のサーバを十分生かせる設備になっていません。
齋藤氏 私たちはそうしたところに焦点を当ててビジネスを行っていくことで、十分に勝算があると考えています。
──── 長岡データセンターは、世界水準のファシリティを備えていると説明されています。構築において難しかった点はどこにありますか?
齋藤氏 長岡データセンターのコンセプトとして、床耐荷重が一平米あたり3.0トン、ラックあたりの最大提供電力を30kVAとしました。これを満足させることがいちばんの苦労です。というのも、これを満足させるだけのデータセンターはおそらくこれまでなかったからです。
このコンセプトを満たすため、電力をどうするか、ラックはどうするんだ、空調をどうするか、そして本当にここにニーズがあるのか、試行錯誤しながら進めていきました。
岡本氏 最新のサーバを活用するのにふさわしいように、長岡データセンターを100Gbpsのネットワークで東京と直結するところにも苦労しました。おそらく日本のデータセンターで100Gbpsを引いているところはほとんどないと思います。
──── 新潟県長岡市にデータセンターを設置した、その理由はどこにあるのでしょう?
齋藤氏 長岡には砂礫層と呼ばれる固い地層があり、地盤が液状化するリスクもありません。これには2つの利点があります。1つは地震に強いという点、もう1つは杭を打たずにデータセンターの建屋を構築できましたので、建設コストが安く済んだこと。そして土地の値段も東京より安いですから、ここで提供するサービスも比較的安価にしやすい、という点です。
もちろん災害対策は万全です。免震装置によって最大加速度700Galの地震波を250Gal以下にできるので、震度7程度の地震がきても震度3程度に抑えられるようになっています。約1キロの距離には信濃川があり100年に一度程度の確率で高さ2メートルほどの洪水がくる可能性がありますが、2.2メートルの防水壁や防水シャッター、防水ドアなども設けてあります。
非常用電源と発電設備は屋外ではなく建屋内の1階に置いてあり、地震や洪水のときでも確保される点も重要なところだと思います。
また、空調に関しては間接外気がメインですが、長岡は寒冷地の気候を生かして、雪氷で空気を冷やす雪氷冷却も利用できます。
こうした土地の利点がありつつ、東京から2時間以内でアクセスでき、ネットワーク的にも100Gbpsのバックボーンで直結されているためレイテンシもほとんどありません。総合的に考えて、長岡は最新のデータセンターを作るうえで非常によい立地だと考えています。
──── パブリッククラウドにはどう対抗していくつもりなのでしょうか?
齋藤氏 パブリッククラウドの多くが、業務アプリケーションのような一般的なワークロードを対象としているのに対して、私たちはビッグデータの解析や機械学習、仮想通貨のマイニングといった領域にこだわって特化したデータセンターのサービスを提供しています。そこがクラウドと違うところではないでしょうか。
岡本氏 たしかにクラウドでも機械学習などの処理を提供していますが、PoC(概念検証)を従量課金制のクラウドで行ったうえで、本格的な処理は専用のシステムを自社で保有して行うという企業も多くあります。特にセンシティブなデータを用いて高度な分析を行おうとしている企業は少なくありません。
私たちがフォーカスしようとしているのは、分かりやすく言えばまさにそういう領域で、そこはデータセンターのニーズが高いと考えています。その点でクラウドとは明確に差別化できると思います。
──── ありがとうございました。
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(本記事はデータドック提供のタイアップ記事です)
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