オンプレミス版Google Kubernetes Engineの基盤となる「Cisco Hybrid Cloud Platform for Google Cloud」が正式リリース
Googleは、同社のクラウド環境とオンプレミスとのハイブリッドクラウドを実現する「Cisco Hybrid Cloud Platform for Google Cloud」の正式リリースを発表しました。
Cisco Hybrid Cloud Platform for Google Cloudは、シスコのハイパーコンバージドシステムであるHyperFlexをサーバとストレージに、Nexsus 9000シリーズをネットワークスイッチに用い、その上でKubernetesを核とするコンテナプラットフォームであるCisco Container Platformを実行します。
そして仮想ルータであるCloud Services Router 1000Vを経由してGoogle Cloud Platformと接続、ハイブリッドクラウドを構成します。
Cisco Hybrid Cloud Platform for Google Cloudは、最初からGoogle Cloud Platformとのアプリケーションのポータビリティを実現するように作られています。つまり、コンテナレベルでアプリケーションをオンプレミスにも、Google Cloud Platformにも、どちらにも管理ツール「Cisco Cloud Center」からデプロイでき、相互の移動も可能です。
コンテナプラットフォームの「Cisco Container Platform」は今年の2月に発表されています。
Google Kubernetes Engine on-Premの基盤に
そしてこの「Cisco Hybrid Cloud Platform for Google Cloud」は、2カ月前の2018年7月にGoogleが発表した「Google Kubernetes Engine on-Prem」の最初の基盤になることが、この発表時に示されていました。
「Google Kubernetes Engine on-Prem」はその名前が示すとおり、マネージドサービスとしてKubernetesを提供するGoogle Kubernetes Engineと同じ体験を、オンプレミスで提供するというものです。
Google Kubernetes Engine on-Premは、Google Cloudのゾーンをオンプレミスに新しく構築したようにGoogle Cloud Platformの管理コンソールから見え、コンフィグレーション、ポリシーの展開、アプリケーションのデプロイなどを、Google Cloudと同じようにオンプレミスのKubernetesクラスタに対して実行できます。
また、Google Cloud Platform MarketplaceからオンプレミスのKubernetesへ数クリックでアプリをデプロイする、といったことも可能です。
現時点ではまだGoogle Kubernetes Engine on-Premは提供開始されていませんが、発表時にアルファ版がまもなく利用可能になると説明されていたので、それほど遠くない時期にアルファ版もしくはベータ版が登場するとみられます。
Googleのハイブリッドクラウド戦略の進捗
Googleはこれまでいくつかの企業と提携してハイブリッドクラウド戦略を進めてきました。例えばPivotalが「Pivotal Container Service」を発表したときにはGoogle Container Engine(現Google Kubernetes Engine)とのポータビリティを実現すると発表しています。
昨年の6月にはNutanixと提携。NutanixのハイパーコンバージドインフラとGoogle Cloudのアプリケーションのポータビリティを実現することなどを発表しています。
しかし、いずれもまだ本格的な実現に至っていません。
そうしたなかで今回の「Cisco Hybrid Cloud Platform for Google Cloud」はオンプレミスのサーバ市場で存在感のあるシスコとの提携によって実現にこぎつけた、Googleにとって重要なハイブリッド戦略の実装となるのではないでしょうか。
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