米ホワイトハウスがCMSとしてWordPressを採用。Drupalから変更
米ホワイトハウスのWebサイトが2017年12月中旬にリニューアルされ、それに合わせてCMSがDrupalからWordPressに変更されていたことが分かりました。
米国の政治動向を報じるWashington Examinerの12月14日付の記事「White House website redesigned to save taxpayers '$3 million per year'」によると、米政府はホワイトハウスのWebサイトを約1カ月数カ月かけてリニューアル。12月中旬にリニューアル後のWebサイトが公開されました(「1カ月」は翻訳ミスでした。お詫びして訂正します)。
リニューアル後はクリーンでシンプルかつ大統領にふさわしい威厳のあるデザインになっただけでなく、目的のコンテンツを見つけやすくなるなどの機能が追加され、また年間で600万ドル(約6億6000万円)かかっていたコストが60%以上削減されたと説明されています。
そしてeWeekの記事「Whitehouse.gov Moves From Drupal to WordPress in CMS Shift」では、このリニューアルに合わせてCMSがWordPressに変更されたと報じられています。
実際に現在のホワイトハウスのWebサイトのHTMLコードを見てみると、例えばCSSのパスは「https://www.whitehouse.gov/wp-content/themes/whitehouse/assets/dist/site.css」とあり、一部にWordPressの特徴である「wp」接頭子が使われていることから、CMSとしてWordPressが使われていることはほぼ間違いないことが確認できます。
なぜDrupalからWordPressになったのか?
ホワイトハウスのCMSは、以前からDrupalが用いられていることが知られていました。
DrupalはWordPress同様にPHPで開発されているオープンソースのCMSです。標準的なCMSの機能を提供するDrupalコアに対してさまざまな拡張モジュールを追加していくことで、検索や掲示板、投票、アクセスコントロール、ワークフローなど高度な機能を容易に実現でき、大規模なWebサイトの構築にも適していることが特徴です。
2009年、DrupalはホワイトハウスのCMSに採用され、それ以来ホワイトハウスのWebサイトはDrupalの事例の筆頭にあがるものでした。
ではなぜ今回、DrupalからWordPressにリプレースされたのでしょうか? ホワイトハウスからは公式な発表がないため想像するしかありません。
その理由の1つとして、WordPressのリードデベロッパーであるAndrew Nacin氏が現在米国政府のデジタルサービス部門にいるからではないかと推測する向きもありました。
しかし、以下のツイートにあるように、Nacin氏本人がそれを否定しています。
I wasn't involved in this. I work on public-facing digital services like veterans applying for health benefits or immigrants applying for citizenship.
— Andrew Nacin (@nacin) 2017年12月20日
また、Whitehouse ExaminerやeWeekの報道では、コスト削減が理由ではないかとされていますが、Nacin氏をはじめ、その理由に否定的な見解もあり、コスト削減が決定的な理由であるとも言えそうにありません。
いまのところホワイトハウスがWordPressを採用した理由は不明なままです。しかし、世界中のWebサイトの3割はWordPressで動いているとも言われている人気のCMSの勢いを後押しする事例が、またひとつ増えたことは間違いありません。
ちなみに、Qiitaにはさっそく「ホワイトハウスのWordPressをチェック」という記事が投稿されています。WordPressで一般的に使われている管理画面などのURLへのアクセスを試した結果、すべてアクセス不可だったとのことです。
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