Cloud Foundry Foundationが「Eirini」プロジェクト発表。Diegoの代わりにKubernetesをオーケストレーションで利用可能に
Cloud Foundry Foundationは、IBMやSAP、SUSEらが進めてきたプロジェクト「Eirini」をCloud Foundry Foundationのプロジェクトとして進めることを発表しました。
Eiriniは、PaaS型クラウド基盤ソフトウェアである「Cloud Foundry Application Runtime」のコンテナオーケストレーション機能としてKubernetesを利用できるようにする、というプロジェクトです。
Cloud Foundry Application Runtimeとは
Cloud Foundry Application Runtimeはもともと「Cloud Foundry」と呼ばれていたもので、アプリケーションをコマンドひとつで簡単にデプロイでき、デプロイ後は負荷に対応したスケーラブルな処理や障害発生時の復旧などを自動的に行ってくれる、アプリケーションの実行と運用を容易にしてくれる基盤ソフトウェアです。
Cloud Foundryの開発をホストするCloud Foundry Foundationは、ちょうど1年前の2017年10月に新プロジェクトとしてCloud Foundryのコア機能を提供するコンポーネントの「BOSH」とKubernetesを組み合わせたコンテナランタイム「Cloud Foundry Container Runtime」を発表しました。
これに合わせてそれまでCloud Foundryと呼ばれていたソフトウェアは「Cloud Foundry Application Runtime」に改名されたのです。
Cloud Foundry Application Runtimeはコンテナが注目される以前から開発が始まっていたため、もともと内部にコンテナのようなアプリケーション実行環境である「DEA」(Droplet Execution Agent)や「Wardenコンテナ」などを備えており、それがCloud Foundryのバージョンアップとともにオーケストレーションツールである「Diego」やDocker対応などへと進化してきました。
Eiriniでオーケストレーションツールをプラガブルにする
今回発表されたEiriniは、Cloud Foundry Application Runtimeのオーケストレーション機能をプラガブルにし、これまでこの機能を担っていたDiegoの代わりにKubernetesも利用可能にしようというものです。
Cloud Foundry Application Runtimeの利点は、アプリケーション開発者が実行環境を気にすることなく、アプリケーションを簡単にデプロイし、運用できる点にあります。
一方、Kubernetesはコンテナオーケストレーションツールの事実上の標準となり、今後さまざまなエコシステムや知識の蓄積が期待される一方、そのコンフィグレーションや運用にはまだまだ手間がかかるとされています。
EiriniはこのCloud Foundry Application Runtimeの利点はそのままに、Kubernetesを取り入れるものです。
EiriniがIBMとSAPなどが推進していたのは、両社とも自社が提供するパブリッククラウドサービスの基盤としてCloud Foundryを採用しており、サービスの将来性や発展性をアピールする上でクラウド基盤にKubernetesを組み込むことが重要だと考えていたのではないかと推察されます。
おそらくCloud Foundry Foundationもその方向性に同意したことで、今回正式にCloud Foundry Foundationのプロジェクトとなったのでしょう。
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