マイクロソフト、自社開発したコンテナオーケストレーションツール「Azure Service Fabric」の基盤ソフトをオープンソースで公開
マイクロソフトは、Microservicesのフレームワークでありコンテナオーケストレーション機能などを備えた「Azure Service Fabric」の基盤ソフトを、「Service Fabric」としてオープンソースで公開しました。
Service Fabricは、いわゆるサービスに分解されたアーキテクチャを持つMicroservicesアプリケーションの基盤となるソフトウェアです。
コンテナオーケストレーション機能として、障害に対するフェイルオーバー機能、動的なリソースの割り当てによるロードバランス、ローリングアップグレード機能などを提供。ステートレス、ステートフルのどちらのアプリケーションにも対応します。
Service Fabricはもともとマイクロソフトの社内でMicrosoft Azureが提供するサービス群の基盤ソフトウェアとして開発されたものです。現在も、Azure SQL DatabaseやAzure Cosmos DB、Cortana、Dynamics 365など、同社が提供するサービスを支えています。
つまり分散アプリケーションやMicroservicesに対する同社の知見の多くが、このService Fabricに組み込まれているはずです。
マイクロソフトにおけるKubernetes的存在だが、その違いは?
Service Fabricが持つ、社内のサービスを支えるために開発されたオーケストレーションツールという経緯と機能は、実はGoogleがオープンソースとして公開したKurbernetesのそれと非常に似ています。
KubernetesもGoogleのクラウドサービス基盤として自社開発していたBorgやOmegaといったコンテナオーケストレーションツールを基に、オープンソース化されたソフトウェアです。フェイルオーバーやロードバランス、ローリングアップデートなどの機能を提供し、ステートレストステートフルのどちらもサポートするなど機能面でも非常に似ています。
Service Fabricは、マイクロソフトにおけるKubernetes的存在と言えます。
ただしKubernetesは2014年にオープンソース化され、2015年には独立した団体であるCloud Native Computing Foundationが開発をホストするようになり、そして現在ではコンテナオーケストレーションの事実上の標準の地位を得ました。
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これに対し、マイクロソフトもService Fabricのコードをどこかの財団へ寄贈することを否定してはいません。
Microsoft owns the project and the Service Fabric team will be the governing body that decides the direction of the project. As the governing body, it will be our responsibility to follow the guidance of the community. That said, we're not ruling out the possibility of donating it to a foundation in the future.
マイクロソフトはこのプロジェクトを所有するとともに、Service Fabricチームが方針決定などにおいてこれを統括していくつもりです。統括主体としてコミュニティのガイダンスに従うことなどにも責任を持ちます。ただしそれは、将来的にこれを財団に寄贈する可能性を否定するものではありません。
「Service Fabric is going open source」から
ただし、現時点でその可能性は低いのではないでしょうか。というのも、KubernetesがBorgやOmegaといったGoogle社内のツールをベースにしながらも別のソフトウェアとしてオープンソース化されたのに対し、Service Fabricは現在進行形でマイクロソフトのサービス群を支えるソフトウェアそのものであるためです。それをすぐ第三者に委ねるのは難しそうです。
しかしコンテナオーケストレーションツールの事実上の標準となったKubernetesの動向を、Service Fabricが無視できるとは思えません。もしかしたらオープンソース化を機に、Service Fabricは何らかの方法で少しずつKubernetesを取り込んでいく、あるいは連係する、といった方法を考えているのかもしれません。
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