AWSが独自のOpenJDK「Amazon Corretto」発表。AWS内部で使っていたJavaを外部提供へ。Java 8は2023年まで、Java 11は2024年まで無償でLTSを提供
Amazon Web Services(AWS)は、OpenJDKのディストリビューション「Amazon Corretto」を発表しました。
Introducing Amazon Corretto – No-cost, multiplatform, production-ready distribution of OpenJDK! #corretto @Devoxx https://t.co/IFgyCXclRr pic.twitter.com/nIW5M6CIMX
— AWS Open Source (@AWSOpen) 2018年11月14日
CorrettoはJavaでLTSが提供される2つのバージョン、Java 8に相当する「Corretto 8」と、Java 11に相当する「Corretto 11」が提供される予定で、Linux、Windows、macOS、Dockerの環境に対応。AWSのクラウドだけでなくオンプレミスでの利用も可能です。
Correttoの最大の特徴は、AWSがセキュリティアップデートを無償で長期にわたって提供することです。
AWSの発表では、Corretto 8は少なくとも2023年6月まで、Corretto 11は少なくとも2024年8月までセキュリティアップデートが提供される予定です。
Correttoは現在プレビュー版で、正式版は2019年4月に提供開始予定。そのときには対応LinuxとしてAmazon Linux 2だけでなくUbuntuとRed Hat Enterprise Linuxも加わる見通しです。
また2019年年中にはAmazon Linux 2のデフォルトOpenJDKとしてCorrettoが採用されるとのこと。
Javaの開発者であり現在AWSに所属しているJames Gosling氏のツイートによると、CorrettoはAmazon内部で使われているJavaを外部向けにしたものだとのことです。
An important point about #corretto is that it’s the externalization of the OpenJDK distribution that Amazon uses internally. If you’re an Amazon customer, you’re almost certainly using Corretto already
— James Gosling (@errcraft) 2018年11月14日
Correttoが一気に有力なJavaの選択肢に
これまでもっとも広く使われてきたJavaのディストリビューションであるOracle JDKは、Java 11からは本番環境で使う場合にはオラクルとの有償サポート契約が必要となりました。無償ではテストやデモなどの目的で利用可能で、その場合にはリリースから6カ月間のセキュリティアップデートが利用可能です。
基本的に本番環境用としてJavaのセキュリティアップデートを無償で受け取るには、Oracleの公式OpenJDK(以下Oracle OpenJDK)を採用し、6カ月ごとに登場するJavaの新バージョン(フィーチャーリリース)に追随するか、もしくはOracle OpenJDK以外のJavaディストリビューションを選択する必要がありました。
例えばマイクロソフトはAzure上での実行目的ならJavaの長期サポート(LTS)を独自に無料提供することを9月に発表しています。
そうしたなかでAWSが無償で長期にセキュリティアップデートを提供するJavaのディストリビューションであるCorrettoを提供することは大きなインパクトがあります。
特にAWSという大手企業のブランドで提供されること、すでにAWS内部で使われていること、そしてそこにJava開発者であるJames Gosling氏がいるという3つの要素は、Correttoに対する大きな安心材料となることでしょう。Correttoは一気に有力なJava環境の選択肢になりそうです。
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