AWSとAzureのKubernetesマネージドサービスが相次いで正式サービス化。GKEを加え、大手クラウドベンダのKubernetesマネージドサービスがすべて本番利用可能に
Amazon Web Services(AWS)とマイクロソフトは、クラウドで提供しているKubernetesのマネージドサービスの正式サービス化を相次いで発表しました。
AWSは6月5日付けで「Amazon Elastic Container Service for Kubernetes」(Amazon EKS)の正式サービス化を発表。マイクロソフトもその約1週間後の6月13日付けで、Azure Kubernetes Service(AKS)の正式サービス化を発表しています。
- AWS上のKubernetesマネージドサービス「Amazon EKS」が正式版に - Publickey
- Azure Kubernetes Service (AKS) GA – New regions, more features, increased productivity | ブログ | Microsoft Azure
Amazon EKSは、米国東部 (バージニア北部) および米国西部 (オレゴン) のリージョンで利用可能。そのほかのリージョンでの対応は今後発表されるとのこと。
マイクロソフトのAKSは、オーストラリア東部、英国南部、米国西部、米国西部2、北ヨーロッパの各リージョンで利用可能。今後数カ月以内に10のリージョンでの追加展開が予定されているとされており、国内リージョンでの展開も期待されます。
Google Kubernetes Serviceもマルチマスター対応が正式版に
Googleはいまから3年前の2015年8月に、Kubernetesをオーケストレーションツールとするマネージドサービス「Google Container Engine」(GKE。現Google Kubernetes Engine)を正式リリース。先月の5月にはマルチマスターにより可用性を高めたGKE 1.10を正式リリースしています。
これにより、EKS、AKS、GKEいずれも、複数のアベイラビリティゾーンにクラスタマスターを分散させることで高可用性を実現しつつ、自社クラウドサービスとの連係により利便性などを高める仕組みを備えた構成のKubernetesマネージドサービスとして出そろったことになります。
クラウド上でKubernetesを用いたコンテナクラスタを本番環境として運用する環境が本格的に整ったといえそうです。
3つのクラウドのKubernetesをDocker EEで一元管理
そしてこれらの発表に合わせる形で、Docker社はDocker EEでEKS、AKS、GKEのKubernetesクラスタを一元管理する新機能を6月14日にサンフランシスコで開催されたイベント「DockerCon 2018」で発表しています。
Docker EEのコンソールで異なるクラウドにあるKubernetesを一元管理し、Docker Trusted RegistryからDockerイメージを配布することや、あるクラウド上で実行されているアプリケーションを別のクラウドへ移動、複製することなどが可能です。
今後多くのアプリケーションがKubernetes上のコンテナで稼働することになるでしょう。とすると、Dockerだけでなく、Kubernetesのレベルでクラウドを抽象化するツールやサービスがほかのベンダから登場しても不思議ではありません。
逆にKubernetesのマネージドサービスを提供する各クラウドは、自社サービスが抽象化されてしまわないようにどう差別化をしていくかが課題になっていくのではないでしょうか。
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