Angularは包括的なフレームワークだから企業に支持される。UIコンポーネントで知られるインフラジスティックス開発ツール担当VPに聞いた
Angularは大規模な組織でのWebアプリケーション開発で多く採用されている、そう話すのはインフラジスティックスのシニアバイスプレジデント、ジェイソン・ベレス(Jason Beres)氏。
同社は先月、デザイナーが作ったUIモックからAngularのコードを生成するツール「Indigo.Design」の国内提供を発表しました。
同社はなぜ、Indigo.Designで生成するコードをAngular対応にしたのか、そしてGoogleが開発するGo言語対応のフレームワーク「Flutter」にも対応すると表明した理由などについて、ベレス氏に聞きました。
包括的なフレームワークだからこそAngularは企業に支持されている
──── 御社は、Webアプリケーションやネイティブアプリケーション向けのUIコンポーネント製品で知られています。しかしこの領域は多くのオープンソースプロダクトも存在しています。この領域における商用コンポーネントが提供できる価値とは何ですか?
ベレス氏 オープンソースは発展し続けていますし、個人のプロジェクトなどでオープンソースのコンポーネントを使うのはよいと思います。
しかしたとえGoogleやマイクロソフトが開発したオープンソースプロダクトであっても、確実に今後もアップデートされる保証はありません。
また、インフラジスティックスが提供しているリッチなUIコンポーネントのようなもの、例えばデータグリッドのように多くの企業向けの機能が搭載され、高い性能を実現するものがオープンソースのコミュニティによって作られることはないと思います。
さらに私たちはサポートも提供します。例えば富士通のような大きな企業での採用ではサポートが欠かせず、私たちは日々サポートを提供しています。
──── 今回発表された製品はAngular対応でした。なぜAngular対応を選択したのでしょうか? Angularの重要性とはどんなところですか?
ベレス氏 Angular対応は、米国や欧州で多くの顧客の声を聞いた結果です。大規模な企業の多くでAngularの採用が決まっています。その理由は、Angularが包括的なフレームワークだからです。
例えばReactはレンダリング機能を提供してくれますが、ルーティングやキャッシュ、バリデーションなどの機能はほかのライブラリと組み合わせることになります。たくさんの開発チームを抱える大企業では、もしもReactを選択した場合にチーム毎にReact以外のライブラリが異なってしまうかもしれません。Angularはそうした心配をする必要がありません。
ですので、世の中の人気はReactもAngularも同様にあると思いますが、企業においては標準化を容易にしてくれるAngularが支持されているのです。
私たちはすでにReact用のウィジェットもリリースしています。今後さらに充実させていくつもりですし、(今回発表したような)コードの生成機能を持つツールもリリースする可能性があります。しかし企業からの要望としては、明らかにAngularのプライオリティが高いのです。
FlutterはまるでFlashを思わせる
──── 今後Dart言語のフレームワークである「Flutter」へも対応する予定というのはとても興味深い点です。Flutterはたしかにエマージングなプロダクトですが、まだポピュラーなものとはいえませんよね?
関連記事:Flutter、ベータを卒業してリリースプレビューへ。Dart言語によるiOS/Android対応アプリフレームワーク - Publickey
ベレス氏 確かにFlutterはエマージングなプロダクトですが、いくつか興味深い動向を示しています。例えばFlutterはGitHub上でこの6カ月に15000スターを集めました。
今年のGoogle I/Oで私たちはFlutterのサポートを発表しました。私たちはFlutterの開発チームと協力して作業していますし、将来Flutter対応製品をリリースするつもりです。
──── FlutterはWebアプリケーションではなく、ネイティブアプリケーションのためのフレームワークです。
ベレス氏 ネイティブアプリケーションマーケットへのニーズは非常に大きいものがあります。非常に高度なUXやリアルタイム性を重視したアプリケーションを構築しようとすると、FlutterやXamarinに注目することになるだろうと考えています。
こうした場合、WebアプリケーションをPWAにすれば完璧なソリューションになるかというと、現時点では私はそう考えていません。まだHTMLをベースにしたWebアプリケーションがすべての場面で受け入れられる状況にはなく、ネイティブアプリケーションが求められる部分は確実にあると考えています。
もちろん、状況はとても速く変化しているので1年後には別の意見を話すかもしれませんが(笑)、現時点ではそう考えています。
東氏(インフラジスティックス・ジャパン代表取締役) 現時点で、ネイティブアプリケーションはiOSとAndroidを別々に開発しなければならないところに悩ましさがあります。一方、Flutterはこれを両方カバーできるフレームワークです。これはまるでFlashを思わせるところがあります。
──── Flash! たしかにそうですね。興味深い視点です。
ベレス氏 iOSとAndroidの全体をカバーし、表現力を備え、軽量でコーディングもしやすいといったFlutterはとても興味深いフレームワークです。ただしFlutter自身はそれほど十分なUIコントロールを備えていないので、サードパーティとしてそうした部分やツールの部分をサポートしようと考えています。
──── ありがとうございました。
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