[速報]Amazon RDS on VMware発表。オンプレミスのVMware環境でもAmazon RDSを提供へ。Oracle、SQL Server、MySQLなど対応。VMworld 2018 US
VMwareとAmazon Web Services(AWS)は、AWSが提供してきたマネージドデータベースサービスである「Amazon RDS」をVMwareベースのデータセンター上で提供する「Amazon RDS on VMware」を発表しました。
両社はAWSクラウド基盤のうえでVMwareをベースとしたクラウドサービスである「VMware Cloud on AWS」を提供していますが、今回発表された「Amazon RDS on VMware」は、VMware Cloud on AWSではなく、オンプレミスなどのVMware環境のデータセンターに対してAmazon RDSと同様の機能を持つマネージドデータベースサービスを提供するものです。
Amazon RDS on VMware発表
発表は、VMwareの年次イベント「VMworld 2018 US」の基調講演で行われました。
同社CEOのパット・ゲルシンガー氏は、ゲストとしてAWS CEOのアンディ・ジャシー氏を壇上に呼び込み、ジャシー氏が「Amazon RDS on VMware」を発表。
ジャシー氏は次のようにAmazon RDS on VMwareを紹介しました。
「Amazon RDSのすべての機能をお客様のVMwareのオンプレミス環境で提供する。
データベースのプロビジョニング、データベースインスタンスのメモリ、コンピュート、ストレージのスケール、OSやデータベースエンジンのパッチ適用も可能だし、リードレプリカによるスケールアウトはオンプレミスへもAWSへも可能だ。
異なるVMwareクラスタへのレプリケーションによる高可用性構成もできるし、VMware上でもAWS上でもオンラインバックアップがとれ、AWSへの移行をするにしてもスムーズにできる。
Oracle、SQL Server、MySQL、PostgreSQL、MariaDBに対応し、数カ月以内に利用可能になる」
VMware環境をAWSのアベイラビリティゾーンに見せる
Amazon RDS on VMwareのデモでは、オンプレミスのVMware環境で稼働中のAmazon RDSを、vSphereのクライアントとAWSのコンソールの両方から参照する様子が紹介されました。
詳細は説明されませんでしたが、VMware環境に「Custom AZ(カスタムアベイラビリティゾーン)」を構築することでAWSのアベイラビリティゾーンとして参照できるようにし、そこにAmazon RDS on VMwareをデプロイするようです。
AWSのWebサイト上にはすでに「Amazon RDS on VMware」のページが公開されており、プレビュープログラムへの登録が開始されています。
両社にとって強力な武器となるAmazon RDS on VMware
Amazon RDSはAWSが提供するサービスのなかでも重要な位置にある主軸のサービスです。まさかこれをAWS以外のインフラで展開するとはまったく意外であり、大きな驚きでした。
これによりAmazon RDSはAWSだけでなく、オンプレミスのVMware環境やサードパーティによるVMware Cloudなどで幅広く提供されるサービスになっていくチャンスを得ました。
データベースはエンタープライズシステムにとって核となるソフトウェアであり、AWSはそのデータベース市場での自身の地位を大きく前進させることになりそうです。
と同時にAmazon RDS on VMwareは、なんとしてもVMware環境をAWSやAzureやGCPなどと肩を並べられるクラウド環境にしていきたいVMwareにとっても、パブリッククラウド市場のリーダーとして唯一欠けているピースであるハイブリッドクラウド市場への攻勢をかけたいAWSにとっても、非常に強力な武器になるのではないでしょうか。
Publickeyでは、AWSとVMwareが2016年に「VMware Cloud on AWS」を発表したときに、記事「AWSとVMwareの提携から見えてくるもの。最強のハイブリッド環境を手に入れたAmazonと、クラウドでの逆転を狙うVMware」で、VMwareとAWSのそれぞれの狙いについて解説しました。
端的に言えば、VMwareはパブリッククラウドに強いAWSの力を借りて自身のパブリッククラウドにおける弱い地位を向上させようとしており、AWSは逆にオンプレミスに強いVMwareの力を借りて、自身に不足しているハイブリッドクラウドのソリューションを充実させようとしているわけです。両社の提携が深まるにつれ、これらはさらに具体性を増してきたことになります。
VMworld 2018 US
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