プログラマ向けの開発支援ツールビジネスで成長し続ける理由。グレープシティがツール事業参入30周年[PR]
ソフトウェアの開発において、プログラマの生産性を高めるためにさまざまなツールは重要な存在です。そのためのツールやライブラリ、コンポーネントなどを開発し販売するツールベンダは国内外に数多く存在します。
仙台に本社を置き、日本のパソコン黎明からソフトウェア開発者を支援するツール事業に取り組んでいる「グレープシティ」は、そうしたツールベンダを代表する企業の1社です。
同社はツール事業に参入してこの8月で30周年を迎えます。その同社には、注目すべき2つの側面があります。
ひとつは30年にわたってツールビジネスで成長を続けてきたソフトウェアベンダであるという側面です。パソコン黎明期には多くのソフトウェアベンダが登場しましたが、同社のようにいまも成長し続けている企業はほんの一握りといえます。
そしてもうひとつは、仙台に本社を置くグローバル企業であるという側面です。同社は中国やインド、ロシアなどに開発拠点を持ち、米国のツールベンダ3社を買収、いまでは海外の社員の方が圧倒的に多くなっています。
現在でも多くの国内企業が海外進出に挑み続けていますが、グレープシティはソフトウェア事業においてグローバル展開を先行して実現してきた数少ない企業なのです。
同社は今年7月、ツール事業の30周年を記念してイベント「Toolsの杜(ツールのもり)」を都内で開催しました。この記事では、そのイベントの基調講演で語られた内容と、同社の会長 ダニエル・ファンガー氏、代表取締役社長 馬場直行氏、ツール事業部 事業部長 小野耕宏氏の3人にインタビューを行った内容を基に、同社のこの2つの側面を紹介していきます。
有望視されていなかったツール事業は一転、資料請求のファクスが鳴り止まず
同社は1983年に沖電気工業「if800」対応の学校法人向け経理ソフト「LeySer(レーザー)シリーズ」の開発でソフトウェア事業に参入します。
ツール事業はそのソフトウェア開発経験を生かし、MS-DOS対応BASIC用の「開発ツール・ライブラリシリーズ」を発売することで1988年8月にスタート。
以来同社は業務アプリケーションの開発生産性向上に寄与する多くのツール、例えばVisual Basicのカスタムコントロール、帳票作成に適したレポーティングツール、Excelライクなグリッドコントロールなどの製品を展開、提供してきました。
しかし同社のツール事業が立ち上がったとき、これほど成長するような有望なビジネスとは見られていなかったと、ファンガー会長は振り返ります。
ファンガー会長 「まだ当時、ツール事業は有望なビジネスだと考えられてはいなかったんですね。米国で売られていたVisual Basicのツールをローカライズして販売したいと社長に打診したときの、最初の返事はノーでした。ただ、そのあとも社長は考えていてくれたようで、一週間後に電話で『やっぱりやろう』と言ってくれました」
一度は社長にノーと言われたこの製品が、その後ツール事業を大きく飛躍させるきっかけになります。
ファンガー会長 「マイクロソフトがVisual Basicを広めようとパートナー向けのイベントを行った際に、まだ英語版の製品の資料請求券付きチラシを配布したんです。すると数日のあいだずっと資料請求のファクスが鳴りっぱなしで、これはただごとではないなと直感的に思いました」
ファンガー会長のそのときの直感は現実のものとなり、ツール事業は大きく成長していきます。
ファンガー会長 「Visual Basicは瞬く間に広がって、私たちもその時流に乗ることができました。東京でのイベントのために仙台から夜通し車を運転して移動したり。みんな仲間として事業を成功させるんだと一緒に頑張りました」
日本市場の要求に応えた製品改善で、全世界の売り上げを上回る
ローカライズにこだわったことも、同社のツール事業の成功に大きく寄与したとファンガー会長は語ります。
ファンガー会長 「ローカライズでは日本語化のためのダブルバイト対応だけでなく、日本市場に受け入れられるように努力しました。例えば日本の罫線文化。いろんな罫線が使えるように要求を出しただけではなく、罫線の角を丸くするといった要求も出しました。開発元からは『冗談だろ』と言われたくらいです」
その結果、Excelライクなグリッドコンポーネントを実現する「SPREAD(スプレッド)」や帳票開発に必要なあらゆる機能を備えた「ActiveReports(アクティブレポート)」は、日本での売り上げが全世界の売り上げを上回るまでに成長、同社の主力製品となります。
品質の向上もローカライズで苦労したところだとファンガー会長。
ファンガー会長 「日本の品質が世界中で安心して使える。それもローカライズでも苦労したところです。すでにアメリカで販売されている製品であっても私たちでテストをして、何百ものバグを発見して報告します。すると、あちらに『これ全部直すの?』とうんざりされたこともありました。そして修正されたものをテストしてもさらにバグが出たりで、嫌がられましたね(笑)」
海外展開のために社名を「文化オリエント」から「グレープシティへ」
同社はツール事業の初期から中国の西安に開発拠点を持つなどグローバル展開を進めていましたが、西暦2000年代にはそれをさらに加速させる出来事がありました。社名変更です。
2002年、同社は社名を「文化オリエント株式会社」から「グレープシティ株式会社」へ変更します。これは海外展開のためだったと馬場社長。
馬場社長 「社名変更をしたのは海外展開のためでした。海外でも通用する社名として『グレープシティ』としたのです」
さらに2008年には米Data Dynamics、2009年には米FarPoint Technologies、2012年には米ComponentOneを相次いで買収。3社とも同社がローカライズし販売してきたツールの開発元であり、これにより同社は製品の多くを自社製品として展開することとなるのです。
3社の海外企業の買収は企業文化の統合などの点で苦労はしたものの、製品開発体制の点では大きな混乱はなかったと馬場社長。そしてこれは同社の製品力の強化にもつながっていくと説明します。
馬場社長 「私たちは買収前から業務委託を受けて買収した企業の製品開発にも携わっていました。そのため開発部門は以前から存在しており、その面で買収による対応へのハードルは低かったといえます。もしもそうした体制でなかったら、状況は違っていたかもしれません」
ファンガー会長 「私たちは自社製品の企画と開発だけでなく、海外製品のローカライズもサポートも自社でやっていました。さらに開発元から委託されて開発もしていました。(買収がうまくいったのは)そうした経験があったおかげです」
馬場社長 「ただ品質が良いから売れる、というわけでもありません。斬新なアイデアも含めて良い製品、良い品質を作っていかなくてはならないのです。私たちはグローバル体制だからその両方ができるという強みはあると思います。そこはうまくチームワークを保ってきた。強いところを出し合えば、より強くなります」
ツール事業の成功の理由とこれから
これからのグレープシティも、開発者の生産性向上のために製品を届けていくと小野事業部長は語ります。
小野事業部長 「開発者のニーズには普遍的なものがあると思っています。それは生産性、効率を上げることです。そのために品質が良いものを作っていく。それは私が入社した当時とあまり変わらないのではないかと思います」
クラウド、オープンなテクノロジーへの積極的な展開も示しました。
小野事業部長 「マイクロソフトがオープンなテクノロジーを取り入れているように、私たちも同じ考えをもっています。もう、ひとつのテクノロジーだけの対応ではお客様も納得しません。そうしたお客様に学ぶ姿勢を持って、いろんなものを取り入れていきます。例えばJavaScriptの大規模開発でニーズがあるのはAngularですので、そこに対応していくといったことがあります」
続く後編の記事では、グレープシティのグローバル展開にとって大きな転機となった海外企業の買収はなぜ行われたのか、その意外な理由。そして同社が創業以来重視してきたビジネス成功の背景を紹介します。
(本記事はグレープシティ提供のタイアップ記事です)
グレープシティ ツール事業30周年
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