米ガートナー、先進テクノロジーにおけるハイプサイクル2018年版を発表。汎用AIは黎明期、バイオチップやディープラーニングは過度な期待、複合現実は幻滅期へ
米調査会社のガートナーは、先進テクノロジーに関するハイプサイクルの2018年版「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2018」を発表しました。
2018年版のハイプサイクルで取り上げられた35の先進テクノロジーは、2000を超えるテクノロジーを分析したうえで抽出されたもので、人とマシンの境界を曖昧にする5つの先進テクノロジートレンドを形成しているとガートナーは説明しています。
いくつかハイプサイクル上で注目されるテクノロジーをピックアップしてみると、黎明期には汎用AI、量子コンピューティング、ディープ・ニューラル・ネットワーク向けASICなどが並びます。
「過度な期待」のピーク期には、ブレイン・コンピュータインタフェース、ディープニューラルネット、IoTプラットフォーム、ブロックチェーンなど。
「幻滅期には複合現実、拡張現実などが並んでいます。
ハイプサイクルは、技術の登場から安定までを以下のステージに分けて説明したもの。
- 黎明期(Innovation Trigger)
- 「過度な期待」のピーク期(Peak of Inflated Expectations)
- 幻滅期(Trough of Disillusionment)
- 啓蒙活動期(Slope of Enlightenment)
- 生産性の安定期(Plateau of Productivity)
ガートナーが予測する5つのテクノロジートレンド
このハイプサイクル上のテクノロジーによって形成される、人とマシンの境界を曖昧にする5つの先進テクノロジートレンドについて、ガートナーの説明を要約しました。
1. AIの民主化
クラウド・コンピュー ティングや「作り手」のコミュニティ、オープンソースといった動向やトレンドが発展し、最終的 にAIは誰もが使えるものになるでしょう。
関連するテクノロジー:AI PaaS (サービスとしてのAIプラッ トフォーム)、汎用AI、自律走行 (レベル4/5)、自律モバイル・ロボット、会話型AIプラットフォー ム、ディープ・ニューラル・ネット (ディープ・ラーニング)、空飛ぶ自律走行車、スマート・ロボッ ト、仮想アシスタント
2. エコシステムのデジタル化
先進テクノロジは、それを実現する基盤の革新を必要とします。コンパートメント化 (区分) された技術インフラをエコシステムに対応したプラットフォームへ革新させることで、人とテクノロジを橋渡しするまったく新しいビジネスモデルの基盤を形成します。
関連するテクノロジー:ブロックチェーン、ブロックチェーンに よるデータ・セキュリティ、デジタル・ツイン、IoT (モノのインターネット) プラットフォーム、ナレッ ジ・グラフ
3. DIY (自己流) バイオハッキング
あと10年もすれば、人類は「トランスヒューマン」時代に突入するでしょう。生活スタイル、関心事、健康上のニーズに応じて、バイオハッキング (遺伝子実験) が可能になります。
関連するテクノロジー:バイオチップ、バイオ技術 (培養組 織/人工生体組織)、ブレイン・コンピュータ・インタフェース、拡張現実 (AR)、複合現実 (MR)、スマート・ファブリック
4. 透過的なイマーシブ・スペース
テクノロジの適用範囲が広がり、 われわれが活動する生活空間やワークスペースがスマート化されます。
関連するテクノロジー:4Dプリンティング、コネクテッド・ホー ム、エッジAI、自己修復システム・テクノロジ、シリコン負極電池、スマート・ダスト、スマート・ ワークスペース、立体ホログラフィック・ディスプレイ
5. ユビキタスなインフラストラクチャ
クラウドコンピューティングとそれに類する多くのテクノロジが登場し大衆化したことで、時間を問わずに利用可能な、制限のないインフラストラクチャ・コンピューティング環境が実現します。
関連するテクノロジー:5G、カーボン・ナノチューブ、ディー プ・ニューラル・ネットワーク向けASIC、ニューロモルフィック・ハードウェア、量子コンピュー ティング
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