仙台に本社を置くグレープシティが、国内200人/海外800人の社員を抱えるグローバル企業になった意外な理由[PR]

2018年8月13日

宮城県仙台市に本社を置くグレープシティは、国内には関東と大阪、海外には米国、中国、ロシア、インド、ベトナムなどをはじめとする12拠点。社員数にして国内に約200名、海外に約800名と、海外の社員が国内の4倍も存在するグローバル企業です。

fig本社の看板には「International Headquarters」と記されている

プログラマの生産性を高めるための開発支援ツールを提供するツールベンダとして、過去30年成長してきた同社は、もともと中国などの海外拠点を持っていました。

しかし同社のグローバル化にとって大きな出来事となったのは、2008年の米Data Dynamics社をはじめとする海外企業の買収でしょう。

前回の記事「プログラマ向けの開発支援ツールビジネスで成長し続ける理由。グレープシティがツール事業参入30周年」では、同社のツール事業の発展について紹介してきました。この記事では同社のもうひとつの大きな特徴であるグローバル化について、同社のツール事業30周年記念イベント「Toolsの杜(ツールのもり)」の基調講演と、会場で行ったインタビューを基に紹介していきましょう。

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続々と海外拠点を設置

同社はいまから30年前の1988年にソフトウェアのツール事業に参入。中国に「西安オリエントソフトウェア有限会社」を設立します。

この翌年には、中国で天安門事件が発生するも、「まわりの企業が撤退していくなかで、私たちは残りました」(ファンガー会長)と、海外拠点にこだわりを見せます。

さらに1993年には「上海オリエント」、1996年には「文化オリエント・インディア」、2000年には「文化オリエント・アメリカ」を相次いで設立し、海外拠点を増やしていきます。

2002年には、海外でも通じる名前に、ということで社名を「文化オリエント株式会社」から「グレープシティ株式会社」へ変更しましました。

こうした海外展開が大きく進展したのは、2008年、2009年、2012年と相次いだ米国企業3社の買収です。

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3社とも同社がローカライズして販売していた製品の開発元です。2008年に買収したData Dynamicsは「ActiveReports(アクティブレポート)」の、2009年に買収したFarPoint Technologiesは「SPREAD(スプレッド)」の、2012年に買収したComponentOne(コンポーネントワン)は「FlexGrid」の開発会社でした。

企業買収は戦略的なものではなかった

同社はなぜ海外企業の買収を行ったのでしょうか。意外にも最初の買収は戦略的なものではなく、相手から頼まれたものだったと馬場社長は明かします。

fig 都内で開催されたグレープシティ ツール事業 30周年イベント「Toolsの杜」の基調講演に登壇する、グレープシティ 代表取締役社長 馬場直行氏

馬場社長 「買収は決して戦略的なものではありませんでした。Data Dynamicsの場合、オーナーが引退をしたいとのことで、売却先の候補をリストアップしたそうです。ただ、当初のリストにグレープシティは入ってなかったそうで、売却先の検討の途中で『一番信頼できる会社だ』ということで売却先の候補になったと聞いています。

同社の製品は日本市場で受け入れられていて多くのお客様がいます。もしも他の会社にこの製品の権利が移ったらどうなるか、ユーザーのことを考えたら買収の提案を受けるしかない。いま振り返ればこれは正しかった、必要だったのかなと思います。会社がさらに発展するいいステップでした」

グレープシティが海外製品をローカライズしていくなかで開発元企業との信頼関係を築いていったことが、「一番信頼できる会社」となり、それが結果的に海外企業の買収に結びついた、というのが馬場社長の説明です。

そしてこの信頼関係があったからこそ、さらに同社は2社目、3社目の買収へと進むことになります。

海外拠点を持つのと海外企業を買収するのは全然違う

ただし、これまで自社で数多くの海外拠点を設けていた同社にとっても、海外企業の買収は初めての経験でした。

馬場社長 「自社の子会社を海外に持つのと海外の企業を買収するのではまったく違いました。子会社なら自社の文化を持ち込めます。しかしすでに社内文化ができあがっている企業を買収するのは難しい。ましてやこれまで契約相手だった企業です。

しかも2008年のData Dynamicsの買収と2009年のFarPoint Technologiesの買収はほぼ同時期に行われたため、さらに難しい状況でした。例えば製品に関する意思決定をする場合、買収前と同じように米国主導で進めるのか、それともグローバルなチームを新たに作って進めるのか、買収した日本が主導していくのか、模索しました」

そうしたなかで、製品の方向性を議論する上では日本のユーザーから多数の要望があったことは大事な要素だったと馬場社長は語ります。

馬場社長 「日本からの要望が多かったことで私たちが議論のなかで自信を持って発言でき、日本を中心に製品の仕様を考えていく盛り上がりを作れたと思います」

日本を中心にグローバルな体制での製品開発体制が整っていくことで、より柔軟に顧客のニーズを製品に反映すること、品質を高めていくことが実現されていきます。

品質はコピーできないから競争力になる

fig ツール事業の30周年記念イベント「Toolsの杜」会場でインタビューを受けるグレープシティ代表取締役社長 馬場直行氏、会長 ダニエル・ファンガー氏、ツール事業部 事業部長 小野耕宏氏

一方、日本の製品は世界から見ると、ときに過剰品質だと言われることもあります。グレープシティはそれについてどう考えているのか、馬場社長はこう答えました。

馬場社長 「ツール事業だけではなく弊社の全ての事業部で、日本の要求する品質はグローバルビジネスをやっていくなかでプラスになっています。もちろん品質のためのコストはかかってますが、品質というのはどこかからコピーして達成できるものではありません。経験の中で月日をかけて練り上げるものだと思います。

どこどこの製品は品質が良いから同じものを作ってと言われても、他社がそう簡単にできるものではありません。お客様からの厳しいプレッシャーや厳しいことを言われて緊張して品質を上げています。それが競争力のひとつになっているのではないでしょうか」

グローバル企業たる同社の本社は仙台に置かれています。同社にとって、IT企業の本社が集中する東京はどう見えるのでしょうか?

ファンガー会長 「東京はひとつの大きな市場です、ワールドワイドで見ても全体の半分ほどあるかもしれません。でも、インターネットの時代には情報発信にしても販売活動にしても、仙台に本社があることのマイナス要素は感じられません。仙台にあることで社屋にも自然にも恵まれています」

小野事業部長 「東京はとても人が多い街ですが、上海や北京を見ると東京だけが特別大きいわけではありません。世界のなかのひとつの市場として見ています」

グレープシティがこれまで成功してきた理由

同社のツール事業30周年を記念したイベント「Toolsの杜」の基調講演で、ファンガー会長は「われわれはビジネスの素人」だったとこれまでの30年を振り返りつつ「社員に、これまでの成功の理由を説明するときにこういう話をする」と、下記のスライドを示しました。

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これは同社の創業から続く理念。同社がこれからさらにグローバルな存在になったとしても、この理念は引き継がれていくのでしょう。

その上で馬場社長は、これからの展望として、技術者を支援する姿勢を持ち続け、グローバルネットワークの強みを生かして新しい技術の創出にも積極的に関わって行き、最高のサポートサービスを提供していくと、イベントに参加したパートナーや顧客に誓いました。

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(本記事はグレープシティ提供のタイアップ記事です)

グレープシティ ツール事業30周年

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Junichi Niino(jniino)
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