「クラウドが当たり前になる中、クラウドをユーザー企業自身で使いこなすスキルが極めて重要に」。ガートナーが日本国内のクラウド市場を分析
ガートナージャパンは、日本企業のクラウドコンピューティングへの取り組みに関する調査結果を発表しました。調査結果では、SaaSの伸びに比べてPaaSやIaaSの成長が足踏みしている状況などが示されています。
同社は、クラウドは企業にとって当たり前のものとなりつつあり、投資意欲が高まっているとした上で、クラウドを採用しようという意向は強いものの、具体的な検討段階においてユーザーは引き続き慎重な判断を行っていると指摘。
その理由として、SaaSやPaaSはクラウドで提供されるサービスが明確であるため利用が進みやすい傾向にある一方、IaaSについては既存の業務システムの置き換えの話がほとんどであり、企業にとってのメリットが見えにくいという問題があるとのこと。
「既存の業務システムでは、『止まってはならない』『データの漏洩は絶対に許されない』といった運用上およびセキュリティ上の厳しいユーザー要件が設定されているケースが多く、外部クラウドの利用をためらう傾向は今でも続いています。さらにIaaSに関しては、いまだに多くの誤解が見られることが利用を阻害する最大の要因になっています」(ガートナージャパン バイス プレジデント兼最上級アナリスト 亦賀忠明氏)
しかし今後、企業にとってクラウドを利用しないという選択肢は、今後確実に消え去ると同社は強調しつつ、ユーザー企業にとってクラウドを使いこなすスキルが極めて重要だとしています。以下、亦賀氏のコメントを引用します。
「クラウドが当たり前になる中、クラウドをユーザー企業自身で使いこなすスキルが極めて重要になります。このような新しいスキルと自分自身による利用なくして、企業は、クラウドに期待される『早い、安い、より満足のいく』サービスのメリットを得ることはできません。また、デジタル・ビジネスを推進することもできません。
Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、IBM Bluemixといった本物のクラウドは、もはやホスティングの対象ではなく、デジタル・ビジネスの具現化に不可欠な数百から数千ものサービス部品の集合体になっています。
APIはもとより、こうしたサービス部品を理解して駆使するスキルは、一般の企業が認識しているよりも相当に高度なものとなっています。企業は2017年内に新たなスキルを獲得するための予算を計上し、トレーニングへの参加や認定資格の取得、さらには自ら新しいサービスを試行することにより『かつてない経験と学習』を実現する具体的な人材投資を開始する必要があります」
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