OpenStack、16番目のリリース「OpenStack Pike」リリース。Python 3.5サポート、etcd統合、ストレージボリュームの動的拡張、スナップショット時点への復帰など
オープンソースで開発されているクラウド基盤ソフト「OpenStack」、16番目のリリースとなる「OpenStack Pike」のリリースが発表されました。
OpenStackはリリースごとにアルファベット順のコード名を付けることになっており、前回のリリースが「OpenStack Octa」で、今回が「OpenStack Pike」、次のリリースは「OpenStack Queens」となる予定です。
OpenStack Pikeの新機能。Python 3.5サポート、Cells V2対応など
OpenStack Pikeでのおもな新機能は以下です。
Python 3.5サポート
OpenStackはPythonを主要な言語として開発が進められてきました。OpenStack Pikeでは、Python 2.x系が2020年にバグフィクスなどを含めたサポートが終了するため、Python 3.5への対応を開始しています。これにより動作速度の改善なども期待されています。
Nova Cells V2
OpenStackの中核的な機能であるNovaは、仮想マシンのインスタンスを管理する機能を提供します。Novaはインスタンスを管理するためのデータベースやメッセージキューを備えていますが、ひとつのデータベースやメッセージキューでOpenStack全体のインスタンスを管理すると、数千インスタンス程度でスケーラビリティの限界に達するとされてきました。
そこでNovaに備えられたのが「Cell」と呼ばれる機能です。Cellごとにインスタンス管理用のデータベースやメッセージキューを備えるようになり、多数のCellを展開することで大規模なスケールでインスタンスを展開できるようになります。また、万が一あるセルに障害が起きても、ほかのセルにはその影響が及ばないため、運用における高可用性にも寄与します。
Nova Cells V2はこのCellを進化させたもので、Novaの標準機能となりました。
etcdのOpenStackへの統合
etcd 3をOpenStackの標準的な分散ロックマネージャとして採用を決定。各コンポーネントへのetcdの統合がOpenStack Pikeから始まりました。
ブロックストレージボリュームの動的拡張
ブロックストレージを実現するコンポーネント「Cinder」など複数のプロジェクトにおよぶ機能追加によって、仮想マシンをシャットダウンすることなく動的にブロックストレージのボリュームを拡張することができるようになりました。
スナップショットをとった時点まで戻る
ブロックストレージを実現するコンポーネント「Cinder」で、スナップショットをとった時点まで戻る機能が追加されました。
ベアメタルサービスのIronicが仮想化ネットワーク対応
ベアメタルサービスの機能を提供するIronicは、仮想ネットワーク機能を提供するNeutronのネットワークへプラグインできるようになり、本物のマルチテナンシーを実現しました。また、ローリングアップデートをサポートし、サービスを中断することなくIronic自身をアップデート可能に。
そのほかリリースノートで多数の新機能が紹介されています。
あわせて読みたい
LaTeXがWordやPowerPointで可能に/VMware Cloud on AWS提供開始/IBMとソニー、磁気テープで330テラバイト、ほか。2017年8月の人気記事
≪前の記事
VMwareとPivotal、KubernetesなどをホストするCloud Native Computing Foundationに参加。Kubernetesに追い風