Kotlin 1.2正式版リリース。KotlinはJavaとJavaScriptのマルチプラットフォーム対応に
Kotlin 1.2では、JavaVMとJavaScriptのマルチプラットフォーム対応を推し進め、プラットフォーム共通モジュールとプラットフォームに依存するモジュールを同一プロジェクト内で記述可能になった。
JetBrainsは「Kotlin 1.2」正式版のリリースを発表しました(日本語訳)。
Kotlinはオープンソースで開発されているプログラミング言語です。JavaVM上で動作し、Java言語よりも簡潔で安全なコードを書けることなどを特長としています。
Kotlinは、今年5月に行われたGoogle I/O 2017でAndroidの正式な開発言語となることが発表され、これをきっかけにして急速に注目度が高まっています。
Kotlin 1.2 is Here!https://t.co/TRclENjhz7 pic.twitter.com/lZo18u8SQz
— Kotlin (@kotlin) 2017年11月28日
同一コードからバックエンド、フロントエンド、Androidアプリの生成が可能に
前バージョンのKotlin 1.1で、KotlinのコードからJavaScriptを生成できるようになりました。これによりKotlinはマルチプラットフォーム対応言語への一歩を踏み出していました。
今回のKotlin 1.2ではこのマルチプラットフォーム対応を推し進め、同一コードからバックエンド、フロントエンド、Androidアプリケーションを生成することができる機能が追加されました。
それが「Commonモジュール」「Platformモジュール」「Regularモジュール」です。
Commonモジュール内にはプラットフォーム共通のロジックを記述し、PlatformモジュールにはJavaもしくはJavaScriptのそれぞれのプラットフォームに依存するコードを記述します。Regularモジュールはいずれのコードでも記述できます。これらが同一プロジェクト内のコードとして記述可能になりました。
さらに現在、Kotlin/NativeとしてKotlinからWindowsやLinux、MacOS、iOS、Android、WebAssemplyといったプラットフォームをターゲットに、ネイティブコードを出力するプロジェクトが進行しています。マルチプラットフォーム対応としては、これらネイティブコードへの対応も今後予定されているとのことです。
ただし、今回実装されたマルチプラットフォーム対応はまだ実験的な段階とされています。
テストをいちど書けばJava/JavaScriptで実行できるライブラリなど
Kotlin 1.2にはさらに、テストを一度書けばJavaVMでもJavaScriptでも実行できるライブラリ「kotlin.test」、同一コードてバックエンドでもフロントエンドでもHTMLをレンダリングできるマルチプラットフォーム対応のレンダリング機能を提供する「kotlinx.html」、JSONまたはProtoBufをシリアライゼーションフォーマットに使うことでプラットフォーム間のKotlinオブジェクト受け渡しを簡単に実現する「kotlinx.serialization」などのライブラリも用意されています。
コンパイル速度もKotlin 1.1と比較してKotlin 1.2は25%向上し、今後のマイナーバージョンアップとなるKotlin 1.2.xではさらに向上する見込みがついているとのことです。
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