慶應大学と講談社/集英社/小学館/KADOKAWAなど、電子書籍標準「EPUB」の次世代標準化に積極的な貢献を目的とする、未来の出版研究所を発足
慶應義塾大学SFC研究所、KADOKAWA、講談社、集英社、小学館、出版デジタル機構は、共同で慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に、未来の出版に関する研究を行う 「Advanced Publishing Laboratory」(APL)を設置することで合意したと発表しました(PDF)。
APLは2年間の活動を予定しており、W3Cが策定している電子書籍の標準規格である「EPUB 」の国際的な維持管理および次世代規格の標準化に対して、積極的な貢献をするとのこと。
また、日本のエンタテイメント文化や精緻な日本語組版を海外に紹介する活動、海外の出版に関するデジタル技術情報を国内に紹介する活動などについて、積極的な情報交換や普及展開に関する活動も推進していくとしています。
さらに、これまで培われてきた出版の知識と最新のデジタル技術に関する教育プログラムも予定しており、未来の出版そのものを支える人材の育成を目指すとのこと。
これまでの財産を活用して未来の出版技術へ
EPUBはもともと電子書籍フォーマットの国際標準仕様を目指してIDPF(International Digital Publishing Forum、国際電子出版フォーラム)で策定が進められてきました。
2011年に完成したEPUB3では、日本からの貢献などもあって縦書きやルビ、圏点(傍点)、禁則といった日本語の書籍に不可欠だった要素が仕様に含まれるようになりました。
EPUBは、その要素技術としてW3Cで策定しているHTMLやCSSなどのWeb標準を用いており、IDPFとW3Cは以前から密接な関係として作業を進めていたこともあって、今年1月、IDPFはW3Cに統合。現在、EPUBはW3Cの下で標準化が行われるものとなりました。
日本は以前からEPUBの標準化に積極的に関与してきたことに加え、慶應大学は20年以上W3Cを支える共同運営者として活動してきました(現在W3Cの共同運営者は世界に4つ。あとの3つはMITと欧州情報処理数学研究コンソーシアム、北京航空航天大学)。APLはこうしたこれまでの財産をうまく活用し、未来の出版技術を切り開いていくものとして期待されます。
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