JavaOne 2017開幕。基調講演でコンテナやマイクロサービスへの積極対応が示される。JavaOne 2017
米サンフランシスコでJava最大のイベント「JavaOne 2017」が10月2日、開幕しました。
Javaは、先月に最新版の「Java 9」と「Java EE 8」が同時に正式リリース、しかもJava EEは策定作業を今後Eclipse Foundationに移管することが発表されるなど、大きな節目を迎えています。
- 「Java EE 8」正式リリース、Java 9と同時に。今後はEclipse FoundationがJava EEをリード
- [速報]Java 9が正式リリース、Javaをモジュール化するProject Jigsawがついに実現。今後のJavaは6カ月ごとタイムベースのアップデートへ
そうしたなかで開催されたJavaOne 2017の基調講演は、Javaがコンテナやマイクロサービスやサーバレスアーキテクチャといった新しく勢いを増しつつあるクラウド環境に積極的に対応していくのだという姿を印象付けようとする内容でした。
Java EEをEclipse Foundationに移管したと報告
JavaOne 2017の基調講演全体をリードしたのは、オラクルでJavaとコンテナネイティブ全体の戦略担当を担う、米オラクル Java and Container Native Platform 製品開発担当バイスプレジデント Mark Cavage氏。
Cavage氏は、オラクルのJavaグループのプリンシプルは、透明性やオープンさを重視し、変化を起こし、迅速であることなどだと説明。
そのうえでJava EEに触れ、Java EEはクラウドやマイクロサービス、サーバレスといった変化への対応が求められており、それらを実現するためにJava EEの策定をEclipse Foundationへ移管したのだとしました。
ここでJava EEのコミュニティを代表する3人が登場、Eclipse Foundationへの移管について「これまでJava EEに大きな投資をしてきたユーザーにとって、Eclipseへの移管とオープンソース化は最終的に大きな利益になるだろう」(Red Hat)、「Ecplise Foundationはよい選択だ」(IBM)、などと語りました。
OracleJDK商用版の機能をオープンソース化していく
次いでJava SEについても触れ、OpenJDKのバイナリがGPLラインセンスにすることで、バイナリ利用の自由度が増したことを説明。
さらに今後、商用版であるOracleJDKの付加機能をオープンソース化し、機能面でOpenJDKとOracleJDKが完全に同じになるとしました。
また、Java9が登場する以前のJavaのメジャーバージョンアップは3年前のことで、これは迅速とはいいがたいとしたうえで、今後のJavaは6か月ごとにアップデートしていくことも紹介されました。
SpotifyはJavaでマイクロサービスアーキテクチャを実装
続いて壇上にはSoptifyのプリンシパルアーキテクト、Niklas Gustavsson氏が登場。
Spotifyはその初期に、Pythonで開発された当初のバックエンドをスケーラビリティのためにJavaへ変更。そのバックエンドは、シェアドナッシングな単体サービスの集合体、現在ではマイクロサービスと呼ばれるアーキテクチャとして構成されていることが紹介されました。
マイクロサービスアーキテクチャの利点として、機能ごとに異なる方法でスケーラビリティを設定できること、いずれかのサービスに障害が発生してもほかのサービスには影響しないため障害に強い、といったことが挙げられています。
Kubernetesはミドルウェアに代わる分散システムの基盤に
コンテナやマイクロサービスの重要性からオラクルがKubernetesに注力していることが示されたのに続き、壇上にはKubernetesの共同創始者であり現在HeptioのCEOであるCraig McLuckie氏が登壇。
McLuckie氏は、以前はアプリケーション基盤としてミドルウェアがあったが、いまはミドルウェア的なものは分散し、Kubernetesのようなものが分散システムの基盤になっているのだと説明。
今後言語でありランタイムであるJavaとKubernetesのそれぞれの環境の統合度があがっていくことを期待しているとしました。
分散コンテナ環境におけるJavaアプリケーションのモニタリングサービス
続いて紹介されたのが、Javaでコンテナネイティブな開発を容易にする「Wercker」。オラクルが4月に買収したサービスです。
Werckerは分散したコンテナ環境の状態を小さなオーバーヘッドでリアルタイムにモニタリングできるサービスです。
分散システム内で発生しているメモリリークの原因を調査するデモが行われました。
スタックトレースからメモリリークしているオブジェクトが割り当てられているコードの場所を特定。
そこからコードの不良部分の発見につながりました。
Java対応のサーバレスプラットフォームを発表
続いて発表されたのが、Java対応のサーバレスプラットフォームをオープンソースで開発する「The Fn Project」です。
Fn Projectは言語非依存のサーバレスプラットフォームですが、最初にサポートする言語としてJavaが選択されました。詳細については以下の記事をご参照ください。
Javaはより速く進化するようになる
基調講演最後の登壇者として登場したのが、オラクルのJava Platformチーフアーキテクト、Mark Reinhold氏です。
Reinhold氏は、Java 9の最大の特徴であるProject Jigsawについてあらためてその概要を紹介。
一部の非互換性はあるものの、すでに多くのJavaフレームワークやライブラリがJava 9対応であることを示しました。
今後、Javaの新機能として検討されているのが、Project Panama、Project Valhalla、Project Amber、Project Loomなど。
Reinhold氏はこうしたJavaの今後を示しつつ、これからJavaはさらに俊敏に前進していくとの言葉で所にchの基調講演を締めくくりました。
JavaOne 2017
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