HashiCorp創業者、ミッチェル・ハシモト氏に聞く(後編)~ハシモト氏と日本の関係、そしてファウンダーとしての役割とは
VagrantやTerraformなど、オープンソースのインフラ自動化ツールで知られるHashiCorp。同社は今年、日本法人を設立し、国内での本格的な活動をスタートさせました。
同社を創業したミッチェル・ハシモト氏に、創業の経緯やエンタープライズへフォーカスする理由、今後の方向性などとともに、ハシモト氏と日本との関係などについても聞きました。
(本記事は「HashiCorp創業者、ミッチェル・ハシモト氏に聞く(前編)」の続きです)
HashiCorpの将来像について
──── 会社の将来像についても聞かせてください。引き続きエンタープライズに積極的にフォーカスをしていくということですね。
ハシモト氏 はい。そうして成功を実現することで、より多くのオープンソースソフトウェアをデリバリし、同時にさらに多くのエンタープライズ向けソフトウェアをデリバリする、このサイクルを回していきます。
ですからビジネス面ではエンタープライズに積極的にフォーカスします。私はこのビジネスモデル、つまりフリーなソフトウェアで多くの人を支援し、一方でトップの企業ユーザーからお金をいただくというモデルを、ユーザー全員からお金をいただくというビジネスモデルよりも気に入っているのです。
と同時に、イノベーションも続けていかなくてはなりません。
昨年12月、まだ社員が80人ほどだったときに全社ミーティングでSentinelの開発を説明しました。そのときは、すでに私たちは忙しく働いているが、それでもこれをやらなければほかの誰かがやってしまう。だからこれをわれわれ自身が開発することが重要なんだと説明しました。
そうやってイノベーションを続けていく、それを維持しなければ。短期的な課題を乗り越えていくことが、長期的な成功に結び付くと考えています。
ハシモト氏のルーツは日本にある
──── 個人的なことについてもおうかがいしていいですか?
ハシモト氏 もちろんです。
──── あなたの苗字はハシモトですね。日本にルーツがあるのですか?
ハシモト氏 そうです。私はいわゆる「日系三世」です。おじいさんのひとりが日本で生まれていて、親族はいまも東京や日本のあちこちにいます。
一緒に来日しているフィアンセは「二世」です。来週、大阪にいる彼女の親族に会いに行く予定です。
なので、おっしゃるとおり日本にルーツがあって、ジャパニーズスクールに通っていました。
──── つまり米国生まれ、米国育ちなのですね?
ハシモト氏 そうです。流ちょうではありませんがブロークンな日本語はフィアンセと話すときに使うことがあります。もしいつか子供ができたら日本語も学ばせたいなと思っています。
日本でのHashiCorpの活動は?
──── ファウンダーとして、CTOとしての役割はどんなものですか?
ハシモト氏 CTOの業務としては技術的なビジョンの設定や技術面でのマネジメントをしています。私はまだコーディングもしてるんです。Sentinelもかなりの部分で私もコーディングしました。
創業者としては、取締役会や会社の戦略といったもの、もちろんCEOもいますが、彼と一緒に戦略を考えています。
そして営業だろうが開発者だろうが、ポジションにかかわらず、社員をハッピーにしなくてはと考えています。そうした幅広い役割を負っています。
──── 最後に、日本でのHashiCorpの活動について教えてください。
ハシモト氏 私は過去4年のあいだ、1年か1年半ごとに日本に来ていましたが、今回の来日は特別です。
今年はHashiCorpのスタッフが日本にいます。長期的にどう日本に根を下ろせるかについて、存在感を示せるか、検討しています。まだまだ初期段階ですし、時間がかかります。ユーザー、お客様、パートナーともミーティングをしました。パートナーは私たちがスケールアップするうえで重要な存在です。
私たちは、HashiCorpをグローバルな存在にするよりも、むしろHashiCorpエコシステムをグローバルな存在にしようと考えています。
私たちはまだ基礎を築いている途中です。だから、いきなりお客様と5年契約を結んだりしようとはしません。
正しいやり方で、日本語で言う「ちゃんと」やりたいのです。注意深く、さまざまなレベルで正しいやりかたで基盤を築いていきたい、そうやってみなさんの成功を支援したいと考えています。
──── ありがとうございました。
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