インテルの元データセンター部門トップがGoogle CloudのCOOに就任、ダイアン・ブライアント氏
Googleは、インテルのデータセンター部門のトップであったダイアン・ブライアント(Diane Bryant)氏がGoogle CloudのChief Operating Officer(COO)に就任したことを発表しました。
ブライアント氏はデータセンター部門のトップとしてこの分野でのインテルの成長に大きく貢献してきただけでなく、さまざまなクラウドベンダのイベントにも登壇し、クラウドベンダとインテルとの良好な関係をアピールする同社の顔でもありました。
下記は2014年に行われたAmazon Web Servicesのイベント「re:Invent 2014」で、インテルとAWSが戦略的提携の下で開発したAWS専用のXeonプロセッサ(Haswell)を用いたインスタンスを発表したときのものです。
左がブライアント氏、右はAmazon.com CTOのWerner Vogels氏。
ブライアント氏は製品を提供する立場から、クラウドベンダや大手企業に向けたデータセンターのビジネスをよく知る人物だったといえます。
エンタープライズ対応の強化が狙いか
Google Cloudはかつて、技術的な先進性が高く評価されてはいたものの、エンタープライズ市場では十分な競争力を発揮できずにいました。
それを変えたのが2015年11月にGoogle Cloudのトップに就任したダイアン・グリーン(Diane Greene)氏です。グリーン氏はVMwareの共同創業者であり、エンタープライズ市場のことを理解している人材として迎えられ、Google Cloudをエンタープライズにおいて競争力のある顧客志向の組織、サービス、価格体系などへと方向付けています。
今回、インテルからブライアント氏を迎えることで、そうした方向性がさらに強化されるはずです。
チップレベルでのクラウドの強化も
もうひとつ、ブライアント氏のGoogle Cloudへの参加は、Google Cloudがさらに独自チップを展開しようとしていることを示すのかもしれません。
いま大手クラウドベンダは自社のクラウドインフラを差別化するために独自のチップ開発をはじめています。GoogleはAIファーストなデータセンターを構築するために機械学習に最適化した「Cloud TPU」プロセッサの開発を今年5月に発表しており、すでにサービスを開始しています。
一方、AWSはインスタンスの基盤となる物理サーバからネットワーク処理やストレージ処理などをオフロードするための専用ASICチップ「Nitro」を開発し、投入を開始したことを今月のイベント「re:Invent 2017」で明らかにし、そのひとつの成果として同社初のベアメタルインスタンスを発表しました。
x86に代表される汎用プロセッサは回路の微細化などによる高性能化のスピードが落ちてきています。そうしたなかで大手クラウドベンダは、汎用プロセッサや汎用サーバだけでなく、独自のチップやプロセッサレベルの開発による差別化を始めています。
インテルでデータセンター部門を率いてきたブライアント氏は、そうした面で多くの知見を持つ人材であることは間違いありません。
Google Cloudはこれで、ダイアン・グリーン氏とダイアン・ブライアント氏という二人のダイアンに率いられることになります。数年後には、どのようなテクノロジーとビジネスを展開しているのでしょうか。
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