DevOpsが日本に本格上陸して5年。DevOpsはいまどう語られているか? DevOps Days Tokyo 2017

2017年5月10日

国内で最初のDevOpsに関する大型イベント「DevOps Days Tokyo 2012」が開催されたのは2012年。続いて2013年にも「DevOps Days Tokyo 2013」が開催されました

DevOps Daysは世界各国で行われているDevOpsに関するグローバルなイベントです。そのイベントが日本に上陸して5年が経過した今年、国内で3回目の開催となる「DevOps Days Tokyo 2017」が開催されました。

DevOpsは言葉としてはIT業界に定着し、実践し始めている企業も登場する一方で、ベンダのマーケティングワードとして乱用されているという指摘もあります。いまDevOpsはどのような言葉として説明されているのでしょうか。

DevOps Days Tokyo 2017のオープニングトークで登場したマイクロソフトの牛尾剛氏とInedoのAlex Papadimoulis氏が、現時点のDevOpsの入門編ともいえる説明を行いました。その内容をダイジェストで紹介しましょう。

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DevOpsをすると、どんないいことがある?

Papadimoulis氏 Devopsについて話そう。DevOpsは、その文字通り「Dev」と「Ops」の2つの言葉からなっていて、このDeveloperとOperationsのコラボレーションがテーマになっている。

牛尾氏 で、DevOpsにはどんなメリットがあるのか。

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牛尾氏 DevOpsのベネフィットはいろいろあって、「より良く」とか「より早く」とか「より安く」とか。

Papadimoulis氏 そう。そしてDevOpsで世界中の企業が。よりよいソフトウェアを早く、アイデアから結果を出すまでを早く実現できるようになっている。

牛尾氏 日本でもやっぱりそうやね。DevOpsをやったお客さんは、より早くとか、リードタイムが短くなるとか。

DevOpsには定義がないから説明が難しい

Papadimoulis氏 じゃあそのDevOpsとはなにか。What is a DevOps。これはむずかしいね。

牛尾氏 DevOpsには定義がないから説明が難しい。Flickrのスライドにさかのぼるしかない(新野注:DevOpsの原点は、2009年に当時Flickrのエンジニアが発表したスライドで示されたものとされる。詳しくは記事「DevOpsの大事なことは、だいたい原点に書いてある」を参照)。

Papadimoulis氏 実際に私はいろんな人にDevOpsを説明したり、DevOpsを学んだりしているけれど、人によってみんな定義が違う。

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牛尾氏 そう。話す人によってDevOpsの定義が違うんですね。ある会社はこう言うかもしれない「このツールを買うとDevOpsができます」と。

Papadimoulis氏 実際のところ、これが正しいDevOpsという答えはないし、単純な正解もない。

牛尾氏 そうね。アジャイル開発には統一された説明があるけど、DevOpsにはないので、逆にいうとこれが正しい、というのもない。

DevOpsに共通する2つの原則

Papadimoulis氏 とはいえ、DevOps全体としていえることとして、カギとなる 2つの原則がある。

1つはチームをまたいだコラボレーション。組織内の各チーム、DevやOpsやQAやマネジメントが協力して同じ言葉で話す。

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牛尾氏 DevOpsは言葉のとおりDevとOpsのコラボレーションからはじまっているけど、そこからさらにQAやマネジメントまで含めたコラボレーションがひとつのカギになっていいる。

それだけでなく、自動化も重要で、そういうことが最近のクラウドテクノロジーなどで出てきてからDevOpsはすごく広がってきた。

Papadimoulis氏 そのとおり。コラボレーションやオートメーションのテクノロジーがDevOpsを可能にしてきた。

DevOpsをどう使うか?

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Papadimoulis氏 ではそのDevOpsをどう使うか?

牛尾氏 ここがいちばん難しいね。日本人は統計上、Devopsをするのが難しいといわれている(新野注:この情報源は「Power Distance Index | Clearly Cultural」およびAlistair Cockburn氏のツイート)。

まず「DevOpsのマインドセットの理解」って、これはどういうことなの?

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Papadimoulis氏 DevOpsのマインドセットには、コラボレーションやオートメーションなどさまざまなものがあっって、まずこれをまとめて理解しなくてはいけない。理解したら次は、それを日本のやり方へ翻訳していく。

牛尾氏 そう、日本への翻訳は言語だけでなく文化もなんだよね。背景の文化なども含めて翻訳しなければうまくDevOpsできない。

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Papadimoulis氏 そう、言語だけでなく文化も。

牛尾氏 翻訳することはそれぞれの会社にも必要で、たとえばクックパッドでうまくいった方法でも、それがエンタープライズ系の会社でうまくいくとはかぎらない。

Papadimoulis氏 それはアメリカでも同じこと。組織が違えば文化が違うから、Netflixでうまくいったからといって、同じ方法が別の銀行でうまくいくとはかぎらない。

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組織への翻訳をしたら、それを組織の中でセールスし、みんなを説得していく。

牛尾氏 ここは難しいパートやけど、DevOpsのよさを伝えていって、みんながやりたくなるようにすることでDevOpsのムーブメントが広がっていくと思う。

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Papadimoulis氏 このとき、私たちはみんなDevOpsを組織内に売り込むセールスマンにならなくてはならないと思う。

学んで、日本に翻訳し、組織に翻訳し、組織内で売り込む。(Learn、Translate、Translate、Sell)、これをなんども繰り返していく。

牛尾氏 まずDevOpsの小さいパートからはじめて、導入して、それを繰り返していくことでDevOpsをゆっくり広めていく。ばーんといっぺんには広がらないかもしれないけど、それが大事だと思います。

Papadimoulis氏 最後のパートは、英語で考える。なぜならdevOpsは西洋のアイデアで、そして多くの原則も英語がベースになっている。だから、DevOpsを考えるときに英語のマインドセットが必要。

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牛尾氏 これは僕もめっちゃ合意で、僕も「8つの習慣」などの発表をしているのですが、DevOpsが生まれた背景が西洋文化にあるので、それを理解するとめっちゃ理解しやすいのでおすすめです。

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Junichi Niino(jniino)
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