Dell EMCのクラウドサービス「Virtustream」が日本リージョン開設、NTTコミュニケーションズと協業で。基幹業務向けクラウドにフォーカス
NTTコミュニケーションズとEMCジャパン、米Virtustreamの3社は戦略的提携により、基幹業務向けのクラウドサービス「Virtustream」を国内向けに今春にもサービス開始すると発表しました。
これはVirtustreamの技術を用い、NTTコミュニケーションのデータセンターから提供されるもの。「Virtustreamのグローバル展開の一環として、日本リージョンとなる」(EMCジャパン 大塚俊彦 代表取締役社長)。NTTコミュニケーションズはVirtustreamにマネージドサービスなどの付加価値を加えた上で自社のクラウドサービスであるEnterprise Cloudの1つとしても位置づけ、提供を行います。
VirtustreamはもともとEMCが2015年に買収したクラウドサービスで、現在ではEMCがデルに買収されたことにより、Dell Technologiesの企業向けブランドである「Dell EMC」傘下のクラウドサービスとして提供されています。
Virtustreamはすでに米国や欧州でIaaS型クラウドサービスの「Virtustream Enterprise Cloud」とストレージサービスの「Virtustream Storage Cloud」を提供しています。国内でも同様のサービスを提供予定で、特に基幹業務向けにディザスタリカバリ環境を実現するため、関東にプライマリデータセンターを、関西にセカンダリデータセンターを設置する予定。
Virtustreamの特長は、「μVM」(マイクロVM)と呼ばれる小さな仮想マシン(200MHz CPU、768MBメモリ、40IOPS、2MBネットワーク帯域)の単位で動的なリソース管理を実現している点にあります。
一般に、ERPなどの従来の業務アプリケーションはモノリシックな構造になっているため、高い性能で実行するには単一の巨大な仮想マシンが実行環境として求められます。しかしVirtustreamの独自技術であるμVMは、こうしたモノリシックなアプリケーションに対してもμVM単位で動的にリソースを設定可能で、高い可用性も実現。
これによりミッションクリティカルなアプリケーションに対しても最適なリソース割当てを実現するとともに、利用コストも平均で30%程度安価になるとのことです。
NTTコミュニケーションズの取締役 クラウドサービス部長 森林正彰氏は「これまで弊社はSAPの案件でけっこう負けてきました。(Virtustreamは)欧米で成功しているモデルで、だからこのサービスとの提携を選びました。これでこれから勝ちに行きたいと思います」と、Virtustreamをクラウド基盤とした業務アプリケーション案件の獲得に期待を示しました。
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