DBMS市場のリーダーはマイクロソフト。オラクルが続き、AWSとSAPが追う。IBMは地位後退。ガートナーがDBMSのマジッククアドラント2017年版を発表
調査会社の米ガートナーは、DBMS市場におけるベンダの特徴などを示したマジッククアドラントの2017年版「Magic Quadrant for Operational Database Management Systems」を発表しました。
マジッククアドラントはガートナーが独自に展開しているチャートです。
チャートの上にあるベンダほど実行能力が評価され、右に行くほどビジョンが評価されています。右上の区分が市場の「リーダー」と見なされ、右下の区分は「ビジョナリー」。左上が「チャレンジャー」で、左下は「ニッチプレイヤー」と見なされます。
マイクロソフトがオラクルを押さえてリーダー
DBMS市場はオラクルとマイクロソフトがリーダーの地位を争っていますが、ガートナーのマジッククアドラントで振り返ってみれば、2014年版で両社はほぼ同等のリーダーでしたが、2015年版以降はマイクロソフトがオラクルを上回るリーダーとして評価されていました。
2017年版でもその関係はほとんど変わっていません。
ガートナーの評価によると、マイクロソフトの強さは市場シェアと売り上げがともに上昇しつつ、市場に対してアグレッシブに製品を展開しているところ。
また、インメモリデータベースやドキュメントデータベース、キーバリュー型データベース、アナリティクス機能などの機能強化を継続的に図っている点で、マーケットのビジョンをリードしていると評価されています。
オラクルも製品をクラウドへ積極展開している点や、顧客から性能や機能、信頼性などの面で高く評価されている点を強みとしつつ、クラウドで厳しい競争に直面している点やライセンスが硬直的で複雑な点などに課題があるとされています。
AWSとSAPが2番手グループを形成し、IBMが脱落
リーダーとして3番目につけているAWSは、2015年版ではじめてマジッククアドラントに登場、昨年までSAP、IBMを合わせた3社で2番手グループを形成していました。
しかし2017年版ではIBMが2番手グループからこぼれ落ち、SAPとAWSが2番手グループとして残ったように見えます。
ガートナーが評価するAWSは、クラウドでの圧倒的なシェアを背景にこの市場をリードしている点、リレーショナルと非リレーショナルをカバーした幅広いサービス展開などです。一方、オンプレミス対応がない点などが課題とされました。
SAPはDBMSが高い成長を示し、しかもオンプレミスとクラウドのビジョンをリードする製品展開が評価されています。
一方のIBMは、幅広い製品展開とグローバル展開は評価されつつも、市場シェアの低下傾向が続き、また主要ブランドのIBM DB2を「IBM Db2」に変更された件もあまり顧客への理解が進んでいないなどの課題が指摘され、ポジションを落としています。
富士通、Couchbase、MongoDBなどがチャートから脱落
2017年版では、昨年までチャートインしていた富士通、Couchbase、MongoDB、Neo4J、MemSQLなど複数のベンダがチャートから外れました。これは評価に値するほど十分な売り上げがなかったためだとガートナーは説明しています。
2017年版で新しくチャートインしたベンダはありませんでした。一時期盛んに登場したNoSQLベンダも落ち着いてきたため、徐々に市場におけるベンダが絞られてきた感じがあります。
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