事実上の標準コンテナランタイム「containerd」がバージョン1.0に到達
Kubernetesなどコンテナ関連のオープンソースプロジェクトを主導するCloud Native Computing Foundationは、コンテナランタイム「containerd 1.0」(発音はCon-tay-ner-D:コンテナーディー)の正式リリースを発表しました。
containerdはDockerから分離されたコンテナランタイムで、事実上の標準とみられています。
すでにcontnaierdの実装はDockerをはじめとして幅広く使われているため、バージョン1.0への到達で大きな変化が起こるわけではありませんが、ひとつのマイルストーンとして重要な区切りだといえるでしょう。
中立的なコンテナランタイムのためDockerから分離
コンテナ型仮想化の実装として注目されたDockerは、2016年12月にコンテナランタイムの部分を「containerd」として分離し、独立したオープンソースプロジェクトとしてマイクロソフト、Google、AWS、IBMらと共同で開発していくことを発表しました。
これは、Dockerによって急速に普及し始めたコンテナ型仮想化のコンテナランタイムをDockerという特定ベンダに依存せず中立の立場で、コンテナ標準であるOCI(Open Container Initiative)に準拠した実装を維持することが目的です。
その3カ月後の2017年3月には、containerdのオープンソースプロジェクトがCloud Native Computing Foundationに寄贈されます。
containerdの実装の基盤となるコンテナランタイムとコンテナイメージの標準「Open Container Initiative」は、2017年7月に「OCI v1.0」として策定を完了し発表されました。
この標準仕様に対応することで、コンテナランタイムがポータブルになるとともに、コンテナイメージもポータブルであることが保証されます。
もともとcontainerdは今年の第二四半期にバージョン1.0をリリースする予定でした。半年ほど遅れてなんとか年内に登場したことになります。
さまざまなソフトウェアのコンテナランタイムが組み込まれる
コンポーネント化されたコンテナランタイムは、Dockerだけでなくさまざまなソフトウェアに組み込まれ始めています。
例えばKubernetesはすでに複数のコンテナランタイムを組み込み可能であり、必ずしもDockerをコンテナランタイムとして用いる必要がなくなっています。
Dockerも今年4月にMoby Projectを発表し、Linux機能を提供するコンポーネントとコンテナランタイムのcontainerdとの組み合わせで、さまざまなアプリケーションをコンテナで実行するためのミニマルなシステムを実現可能にしています。
containerdのバージョン1.0への到達は、こうしたコンテナを活用したシステム構築を促進するためのマイルストーンになることでしょう。
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