「Bash on Windows」という名称は非推奨に。正式名称「Windows Subsystem for Linux」(WSL)としてベータを卒業、正式リリースに
「Windows 10 Fall Creators Update」に合わせて「Bash on Windows」の名称が非推奨になり、「Windows Subsystem for Linux」を正式名称とする正式版がリリースされる。
今月にもリリースされるWindows 10の大型アップデート「Windows 10 Fall Creators Update」に合わせて、Windows上でLinuxを実行する機能の名称としての「Bash on Windows」が非推奨になることが発表されました。
今後の名称は「Windows Subsystem for Linux」(WSL)に一本化されます。
と同時に、「Windows 10 Fall Creators Update」のリリースに合わせて「Windows Subsystem for Linux」はベータ版を卒業して正式版となります。
This means that if you run into unexpected issues or problems with WSL, you can contact Microsoft Support to file a support ticket that will be managed through the normal channels.
これが意味するのは、もしWSLで予期せぬ問題や障害が発生した場合、マイクロソフトのサポート窓口へ連絡し、通常のチャネル経由でサポートチケットを発行できるということだ。
「What’s new in WSL in Windows 10 Fall Creators Update」から
Bash on Windowsとして登場したWindows Subsystem for Linux
もともとWindows Subsystem for Linuxは、2016年3月に米サンフランシスコで開催された年次イベント「Build 2016」で、Windowsで本物のBashが動作するという「Bash on Windows」(あるいは「Bash on Ubuntu on Windows」)として発表されました。
この発表のときにはLinuxバイナリのBashがWindowsでそのまま実行されていることが強調され、それを内部で支えている仕組みである「Windows Subsystem for Linux」について触れられることはありませんでした。
「Windows Subsystem for Linux」は、1MBに満たない小さなコードによってWindowsのNTカーネル上でLinuxカーネルをエミュレーションすることで、Windows上でLinuxバイナリを実行する仕組みです。
参考記事
Windows 10でLinux互換機能を提供するWindows Subsystem for Linux(WSL)が、Windows 10の大型アップデート「Windows 10 Fall Creators Update」で正式版になることが発表されました。
マイクロソフトはWindows 10の大型アップデート「Windows 10 Creators Update」で、Windowsに取り込んだLinux機能の「Bash on Ubuntu on Windows」とその背後にある「Windows Subsystem for Linux」の強化を行い、これまで実行が困難だったLinux版のJavaやPostgreSQLなども実行可能になることを、イベント「Windows Developer Day - Creators Update」で明らかにしました。
Windows Subsystem for Linuxが正式版へ
その後、Windows Subsystem for Linuxの完成度が徐々に向上し、BashだけでなくMySQLやRedisやJavaなどBash以外のLinuxバイナリも問題なく動作するようになり、さらにLinuxディストリビューションもUbuntuだけでなく、FedoraとopenSUSEへも対応が広がりました。
こうなると、これを機能の一部だけを取り出した「Bash on Windows」という名称で呼ぶことがふさわしくないのは明らかでしょう。
そしてWindows Subsystem for LinuxはWindows 10だけではなく、Windows Serverにも搭載されることが発表されています。マイクロソフトはWindows上でLinuxを走らせることに本気で取り組んでおり、WindowsをWindowsとLinuxのどちらのアプリケーションであっても問題なく実行できるアプリケーション基盤にすることを目論んでいます。
ベータを卒業するこのタイミングで正式名称を「Windows Subsystem for Linux」にするとの宣言は、大きなマイルストーンとしてWindowsでフル機能のLinuxを実行する基盤が整ったことを示すものだとも言えるのです。
参考記事
仮想マシンを使わず、Windows 10でそのままLinuxバイナリが実行できる機能として「Bash on Windows」が発表され、Bash on Windowsでは、Bashシェルを実現するためにWindows 10上でなんのカスタマイズもされていない本物のUbuntuとBashが実行されています。
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