オラクル、AWSとAzureでのOracle DBライセンス体系を変更。コア係数が適用外になり、ライセンス価格が2倍に

2017年2月3日

オラクルはAmazonクラウド(以下AWS)とMicrosoft Azure(以下Azure)でOracle Databaseなどを利用する際のライセンス体系を変更、新しいライセンス体系(Licensing Oracle Software in the Cloud Computing Environment)(PDF)を明らかにしました。

オラクルは以前からAWSとAzureを認定クラウド環境としており、これは新ライセンス体系でも変わっていません。新ライセンス体系での最大の変更点は、AWSとAzureでは「コア係数」が適用外になったことです。

When counting Oracle Processor license requirements in Authorized Cloud Environments, the Oracle Processor Core Factor Table is not applicable.

認定クラウド環境においてOracle Processorライセンス要件を数える場合、プロセッサコア係数は適用されません。

オラクルは自社のクラウド強化に注力しており、新ライセンス体系もその戦略に沿って価格面で競合他社よりも自社のクラウドを有利にすることを狙ったと見られます。

参考記事

米オラクルはサンフランシスコで開幕したイベント「Oracle OpenWorld 2017」で、次期データベース製品「Oracle 18c Autonomous Database」を発表しました。

「Oracle OpenWorld 2017」初日の基調講演でエリソン氏はAmazonからOracleのクラウドへ移行した場合には費用が半額になると発言しました。

コア係数とは

コア係数とは、オラクルのライセンス体系においてライセンス価格を決定する重要な要素の1つです(オラクルによる説明)。

オラクルは(オラクル以外にもいくつかのソフトウェアベンダは)、基本的にはソフトウェアが稼働するサーバの物理的なプロセッサの数に応じたライセンス価格を設定しています。しかし現在では1つのプロセッサに多数のコアが搭載されることが普通になり、プロセッサの数だけでは価格を決めにくくなっています。

そこで、「いくつのコアを1つのプロセッサとして見なすか」を決定する係数として登場したのがコア係数です。マルチコアのプロセッサを搭載したサーバでは、物理的なプロセッサの数ではなく、総コア数に対してコア係数をかけ算し、小数点以下を切り上げした値をプロセッサ数と見なすのです。

例えば、インテルのXeonシリーズのコア係数は「0.5」ですので、あるサーバに搭載されているプロセッサのコアの総数が12であれば、12×0.5=6プロセッサ分のライセンス価格ということになりますし、UltraSPARC T1のコア係数は「0.25」ですので、あるSPARCサーバに搭載されている総コア数が8であれば、8×0.25=2で、2プロセッサ分のライセンス価格ということになります(初出時、一部の計算を間違っていました。修正しました)。

AWSとAzureがコア係数の適用外に

今回の新ライセンス体系では、前述のように認定クラウド環境であるAWSとAzureがコア係数の適用外になりました。

オラクルが公開しているコア係数の一覧表(2009年3月発表)によると、インテルのXeonシリーズはコア係数が0.5となっています。しかしAWSとAzureでOracle DBを利用する場合には、たとえクラウド上のサーバがXeonプロセッサであってもこのコア係数が適用されなくなりました。

つまり、AWSとAzureでOracle DBを利用する場合、従来の価格体系と比べて2倍に値上がりすることを意味します。また、オンプレミスからAWSとAzureへ移行する場合にも、オンプレミスでは適用されるコア係数がAWSとAzureでは適用されないため、ライセンス価格が2倍になると考えられます。

日本オラクルに確認したところ、新しいライセンス体系は日本国内でも同様の扱いであるとの返事をいただきました。

AWSでハイパースレッドが有効だと2vCPUで1台分に

記事を終える前に、新価格体系で行われたもうひとつの変更についても触れておきます。以下のように、AWSではハイパースレッドが有効か無効かで、数え方が変わりました。

Amazon EC2 and RDS - count two vCPUs as equivalent to one Oracle Processor license if hyper-threading is enabled, and one vCPU as equivalent to one Oracle Processor license if hyper-threading is not enabled.

Amazon EC2とRDS - もしもハイパースレッディングが有効である場合、2つのvCPUを1つのOracle Processorライセンスと同じと数える。もしもハイパースレッディングが有効で内ならば、1つのvCPUを1つのOracle Processorライセンスと同じと数える。

Microsoft Azure – count one Azure CPU Core as equivalent to one Oracle Processor license

Microsoft Azure - 1つのAzure CPUコアは、1つのOracle Prosessorライセンスとして数える。

これからAWSやAzureでOracle DBを利用する場合には、新ライセンス体系での価格について注意し、あらためてクラウドベンダや日本オラクルなどに確認したほうがよいと思われます。

参考記事

オラクル社はいま、クラウド市場におけるチャレンジャーとして自身を位置付け、先行するクラウドベンダを追撃すべく後発ならではの強みを構築し、実践しようとしています。

参考リンク

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