[速報]「25年以上の歴史を持つIOSを書き直した」シスコCEO。新戦略「Intuitive Network」は機械学習を用いてネットワーク運用やセキュリティ対策を自動化。Cisco Live US 2017
シスコシステムズは先週、新戦略「Intuitive Network」に基づく 「Cisco Digital Network Architecture」(Cisco DNA)と呼ばれるアーキテクチャの製品群を発表しています。
この製品群はネットワークを流れるトラフィックの意図を読み取って自動的にネットワーク構成を変更するという、高度な学習機能と自動化機能を備えたもの。
例えば、ネットワークを流れるトラフィックの意図が何らかの悪意を持ったマルウェアの感染に関するものと判断された場合には、それを自動的に遮断。一方で、ECサイトにおける注文に関するトラフィックだと判断されると優先的に通す、といったことが行われます。
同社にとってこの新戦略とアーキテクチャの発表は、今後のあらゆる製品の方向性に影響する非常に大きなものです。6月26日(日本時間6月27日未明)に開幕した年次イベント「Cisco Live US 2017」の基調講演において、同社CEO Chuck Robbins氏は「今年は、すべてを変える旅を始める年となった」と表現しました。
25年以上の歴史を持つIOSを書き直した
基調講演でのRobbins CEOの発表に沿って、この新戦略はどういうものなのかを見ていきましょう。
Intuitive Networkの基本的な構造は、ネットワーク全体のトラフィックを把握し、機械学習によってその意図を分析、判断したうえで、それに基づいてネットワーク構成が動的に変更されるというものです。つまり、ネットワーク自体が迅速かつ自律的にビジネスに関わる問題を解決する能力を備えるようになることを目指しています。
そのためにまずシスコが行ったのは、同社のネットワーク機器のOSである「IOS」を書き直すことだったとRobbins CEO。
「まず最初にしなければならなかったのは、25年以上の歴史を持つソフトウェアの書き直しだった。IOSをモダンなデータモデルとAPIを備えたOSにする必要があった。そしてよい知らせがある。われわれはこれを完了した」(Robbins CEO)
そしてCisco DNAで構成されるネットワーク全体の司令塔となるのが「DNA Center」です。
Cisco DNAはあらゆる機能がソフトウェアで定義可能(Software-Defined Everything)であり、それを統括するのがこのDNA Centerになります。
スイッチ上の仮想化やコンテナでアプリを実行可能に
Cisco DNAに対応したあたらしいスイッチもリリースされました。「Catalyst 9000シリーズ」です。
「病院などでネットワークに医療機器が接続されるのを検知すると、自動的にプライベートセグメントを構築し、ゲストネットワークと医療機器のネットワークを安全に分離する。ワイヤレスもワイヤもサポートし、IoT対応であり、モバイルレディであり、クラウドレディだ。」(Robbins CEO)
しかもこのCatalyst 9000シリーズはそのうえで仮想マシンやコンテナなどを用いて汎用のアプリケーションも実行可能と説明。「サードパーティのアプリケーションも、クラウドの拡張機能もここで実行できる」(Robbins CEO)
そしてサービスとして提供されるのが「Encrypted Traffic Analytics」。ネットワークを流れるさまざまなトラフィックを総合的に分析し、その意図を判別。「暗号化された通信を解読することなく、99.995%の確かさでマルウェアかどうかを判断できる」機能を提供。
通信のプライバシーを保ちつつセキュリティ対策を実現可能とするもので、「これは革命的だ」(Robbins CEO)。
こうしたCisco DNAの製品群やサービスを用いることで、大規模なネットワークの運用を自動化、トラフィックのデータをもとに自律的に作動するネットワークが、サービスプロバイダや企業において提供できるとしました。
Cisco Live US 2017
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