ビジネスマンがデータ分析をする「シチズンデータサイエンティスト」が登場。仕事のデジタル化はこの先どうなるか、ガートナーが「デジタルワークプレイスのハイプサイクル2017年版」発表
米ガードナーは、さまざまな分野に関するハイプサイクルを発表しています。もっとも有名なのは先進テクノロジーに関するハイプサイクル(Hype Cycle for Emerging Technologies)です。
参考:米ガートナー、先進テクノロジーにおけるハイプサイクル2017年版を発表。AI Everywhere。サーバレスは黎明期、ディープラーニングやブロックチェーンは過度な期待
そして8月17日付で同社が発表したのは、これからの仕事がデジタル技術の進化によってどのように変わっていくのかを予想した「Hype Cycle for the Digital Workplace, 2017」。です。
ハイプサイクルは、技術の登場から安定までを以下のステージに分けて説明したもの。
- 黎明期(Innovation Trigger)
- 「過度な期待」のピーク期(Peak of Inflated Expectations)
- 幻滅期(Trough of Disillusionment)
- 啓蒙活動期(Slope of Enlightenment)
- 生産性の安定期(Plateau of Productivity)
上図によると、2017年のデジタルワークプレイスにおいては、BYOD、エンタープライズソーシャル、音声認識などはすでに啓蒙活動期や生産性の安定期にはいっており、バーチャルアシスタント、ITサービスカタログ、パーソナルアナリティクスが過度な期待のピーク期で、会話的UI(Conversational User Interface)やスマートワークスペース、Augmented data discoveryなどが黎明期に位置しています。
拡張データ探索と個人のためのデータ分析
ガートナーは、今後2年から5年程度のあいだに、次の2つのテクノロジーがデジタルワークスペースにおいて大きなインパクトを持つとしています。
ひとつ目は「Augmented data discovery」です。Augmentedという単語は、増補や拡張という意味がありますので、拡張データ探索とでも訳すべきでしょうか。同じ単語を用いたAugumented Reality(AR)では、現実の景色にバーチャルな画像をオーバーレイし、現実を拡張することで、例えば現実の空間にポケモンが現れたり、目の前のエンジンで故障している可能性がある部品の色が変わる、といった効果を実現しています。
同じ意味でAugmented data discoveryを理解すると、実際のデータに対して分析用のアルゴリズムをオーバーレイすることで、専門家ではないビジネスマンやデータ分析以外の専門分野を持つ研究者などガートナーが「シチズンデータサイエンティスト」と呼ぶ人々が、高度なデータ分析を行えるようになるといえるでしょう。
もうひとつは「Personal analytics」です。これは個人のために行われるデータ分析で、その人のデータを分析することで健康に関するアドバイスや資産運用などに関するアドバイス、ショッピングに関するアドバイスなどを提供します。いわゆるバーチャルアシスタントの一種といえます。
さらにガートナーは5年から10年先に大きなインパクトを持つ技術として、Conversational user interfaces(対話的ユーザーインターフェイス)によって文書や会話がコンピュータとのやりとりの主要な手段になるだろうということ、そして機械学習やAIを用いた本格的なバーチャルアシスタントがユーザーを支援し、またタスクの自動化などもこなしてくれるだろうと予測しています。
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